市民が主体となって生活環境の整備を提案し、市が選考の上で助成する「ヨコハマ市民まち普請事業」。今年は港南区内から「日野中央洋光台エリアを元気にする会」(鈴木由美子代表/以下「元気にする会」)が日野団地内の店舗跡地活用を掲げて1次コンテストを通過し、2016年1月の2次(最終)コンテストに向けて準備を進めている。
2005年から横浜市が取り組む同事業は、身近なまちの整備に関する提案を市民から募集し、2段階にわたる公開コンテストを行った上で整備助成金(上限500万円)の交付を決定するというもの。整備予定のものも含め、これまでに41件の実績がある。
7月に行われた今年の1次コンテストには、市内9グループが参加し、元気にする会など4グループが通過。16年1月31日に行われる2次コンテストに向け、提案内容の具体化が進められている。
「超高齢化ゆえ必要」
元気にする会の提案は、日野団地内で12年6月まで営業していたスーパー「エフマート」の跡地を活用した地域交流拠点の整備。以前同所で、惣菜の製造販売や店舗責任者を務めていたこともある鈴木代表は、「超高齢化のエリアなので、日常に必要なものを買う身近な場所として重宝されていたと思う」と話し、「買い物する目的がなくても足を運んでくれる人が多く、交流する場所にもなっていた」と以前を振り返る。
だが、設備更新費や人件費の捻出が採算上難しくなり、やむなく閉店。「コミュニティーカフェのように気軽に足を運べて、コンビニのように便利な場所が必要。人がいることは防犯上も重要」と整備の目的を語る。
課題は「運営スタッフ」
現在の活用案では、切手類の販売や宅配便の受付といった日常生活に必要なサービスの提供のほか、朝市の実施や自治会、子ども会、老人会と協力したイベントの実施などを盛り込んでいる。「店番のような役割も含めて、運営に携わることが生きがいにもなれば。学生などを対象に、職業体験のような場として活用することも考えていきたい」と展望を語る。
一方で、具体的な運営方法については未だ検討中でもあり、「常時、人のいる場所にしたいが、スタッフをどうするかが一番の課題。採算ベースでは難しかったので、ボランティアを募る方法を中心に今後検討していきたい」と明かした。
市内企業にもPR
同事業は例年、市民と行政の2者協働で取り組んできたが、今年度から市内企業も加わり、3者が協働する試みも進められている。
9月26日には、みなとみらいで各グループと企業担当者が交流する「企業マッチング会」が開催された。市都市整備局の担当者は「企業ならではのアイデアや技術がある。まちづくりを考える市民と企業が出会うことは、この事業において意義があることはもちろん、2次コンテストを通過できなかった場合でも、今後のまちづくりにつながっていく可能性がある」と今回の試みについて狙いを明かす。
当日は、地域貢献に力を入れている建設業や造園業など18社、うち区内からは(株)キクシマ、(株)渋谷興業、(株)新世、中村建設(株)の4社が参加。会場では、グループ・企業の担当者が自己紹介をした後、グループごとに設けられたブースを企業担当者が訪れる形で自由に交流がなされた。
元気にする会のブースを訪れた企業の担当者は「まだプランが具体的でないため、実際にどういう形の協力ができるかは分からないが、協力していきたい思いはある」と力を込めた。
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