県立横浜栄高等学校(栄区上郷町)のアメリカンフットボール部が6日、春季県大会で初優勝を果たし、公立校として初めて県を制した。前身の港南台高校時代からの長年の悲願を達成した。
実に「5度目の正直」だった――。これまで春秋4度の準優勝を経験している横浜栄高は、慶應義塾大学陸上競技場(港北区)で行われた大会決勝で鎌倉学園を49対28で下し、ついに栄冠を手にした。前半終了時点では17対14という均衡したゲームだったが、終盤に突き放して勝利した。
前身の港南台高時代に8年、横浜栄でも6年目になる高橋昭監督(56)は「今まで悔しい思いはいくらでもしてきた。接戦になるとは見ていたが、思った以上に選手たちが集中力を切らさずに戦ってくれた」と称えた。
部の伝統引き継ぎ
横浜栄高は港南台高と上郷高の統合により2009年に創立し、アメフト部は港南台高アメフト部の伝統をユニフォームとともに引き継いでいる。県大会では上位の常連でもあるが、これまで慶應義塾高校など強豪私学の壁をあと一歩越えることができなかった。
強豪私立校と公立校とを比べると、グラウンドの確保をはじめとする練習環境の違いのほか、選手層の厚さが大きな差となる。特にアメフトでは選手交代の自由度が高いため、強豪校などでは攻撃・守備ごとに11人の選手を総入れ替えして戦うチームも多いという。
公立校ではそれだけの人数が確保できないことも少なくなく、今大会の横浜栄高も1年生やけが人を含めて17人。スタミナ面では不利だが、「攻撃も守備も両方分かっているというのは強み。相手にとって嫌なプレーも分かる」と主将の大城来喜君(3年/西本郷中出身)は語る。高橋監督も「練習や試合での一人ひとりの経験は濃く、少人数ならではのチームワークの強さもある」と話す。
OBらも祝福
また横浜栄では従来から相手チームの分析や戦術理解に力を入れてきた。それを支えるのは港南台高時代からのOB陣で、学生コーチは歴代のOBからOBへと引き継がれ、またライバルチームの試合会場まで足を運んでビデオに撮影し、情報を集めるという形でも協力している。
今大会の優勝を受け、部の公式ツイッターにもOBから多くのお祝いメッセージが寄せられた。「部として初、公立校として初というのは誇らしい。何より多くのOBの皆さんと喜びを分かち合えたのが嬉しい」と大城主将は笑顔を見せる。
次は関東で1勝
1年生13人を加え、選手28人、マネージャー9人という体制となった同部は現在、関東大会を控えている。大城主将は「まずは1勝。体力負けだけはなしないよう準備したい」と力を込めた。大会初戦はアミノバイタルフィールド(調布市)で6月2日、東京3位と埼玉栄高の勝者と行われる。
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