昨年7月、国は児童相談所1カ所あたりの管轄人口を50万人以下とする設置基準を示した。人口370万人の横浜市内の児相は4カ所のみで、児相内の一時保護所は慢性的な定員超過が課題だ。こうしたことから、市は新たな児相の整備を来年度予算に盛り込んだ。
児相は虐待や障害、非行など様々な相談に対応するとともに、何らかの理由で親元にいられない子どもを一時保護している。入所期間は最大2カ月でその間、保護者や関係機関と調整し家庭に戻れる環境を整えている。
児相新設の背景には、虐待件数の増加や入所期間の長期化による、一時保護所の慢性的な定員超過もある。昨年度の1日平均入所人数は定員161人に対し、173・8人、今年度も12月までの速報値で176・6人(8月から定員166人)だった。最大217人が入所する日もあったという。
定員超過する場合は市内4カ所の児相間で調整をしつつ、学習室や休養室など居室以外のスペースに簡易ベッドを入れるなどして対応しているという。中央児相の深見和夫副所長は「命にかかわることなので、必要があれば必ず受け入れるのが一時保護所。養護施設や里親の数も限られるため、定員超過の解消は難しい」と話す。
26年度に開所予定
新設される児相の一時保護所の定員は約20人を想定。場所は鶴見区生麦で、来年度から基本設計に着手し、2026年度に開所する予定。現在、中央児相が管轄する鶴見区と神奈川区が対象となる。また開所までの期間も対象区の事案に迅速に対応できるよう、夏までにサテライト拠点を設置する準備も進む。中央児相から約10人の児童福祉司が駐在し、初期対応にあたるとしている。
市はこれまでも児相の再整備を進めてきた。21年度は西部児相を隣接棟に移転し一時保護所の定員を5人増加。24年度には南部児相も港南区に移転新設予定だ。市担当者は「着実に整備を進め全ての子どもが一人の人間として尊重される横浜を目指す」と話した。
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