栄区内で幼保連携型認定こども園などを運営する学校法人森学園(森美佐子理事長)が、閉校した市立庄戸中学校(栄区庄戸3の1257の200)跡地に「不登校特例校」(※)を開校する事業者にこのほど選定された。今後は市や県との協議や承認、認可を経て2026年の供用開始を目指す。
市は15年に閉校した庄戸中跡地について地域や関係区局で後利用を検討してきたが、地域ニーズを踏まえた活用の方向性がまとまったとして、昨年12月〜3月まで活用事業者を公募していた。
公募には5件の応募があり、通信制高校や、フリースクール等の提案内容の中から、同法人が事業予定者に選ばれた。
文部科学省は「不登校」を何らかの要因・背景により登校しない・できない状況で年間30日以上欠席した人(病気や経済的理由は除く)と定義。同省の調査によると市内不登校児童生徒数は6616人にのぼる(2021年度)。「不登校特例校」は、こうした登校ができない・難しい子どもたちの受皿となることが期待される。
学校法人森学園は幼保連携型認定こども園「いのやま幼稚園・保育園」や子ども向けサッカースクールの運営、子育て支援事業や障害児通所支援事業などを行っている。
同法人が設置予定の特例校は、小1〜中3までの一貫教育を実施する義務教育学校として教育課程を独自に編成し、総合的な学習(「探究」)の時間を充実。「探究」の時間では教科横断型で食育を中心に体験活動を実施する予定だ。食育の中心となる「エディブル・スクールガーデン(食べられる庭)」では、野菜や果物の栽培・収穫、調理体験などを通じ、多教科を横断的に学習。体と心の健康に関心を持ち、命の大切さを学ぶ。
地域との連携も
また、地域との連携も重視し、1階の一部エリアは地域住民も利用できる開放スペースとして、カフェや貸会議室を整備する予定だ。
そのほか子育て支援の一環として未就学児〜小学校低学年が遊べる空間や、発達の悩みを抱える児童生徒への支援の場として、放課後等デイサービスの事業所も設置される予定となっている。
選定理由について、横浜市保有資産公募売却等事業予定者選定委員会は「全体的に計画の熟度が高く、バランスの良い提案」で実現性が高く見込めるとした。また「地域ニーズを踏まえた豊富な取り組みが提案され、地域の魅力向上や課題の解決につながることが期待できる」とも述べている。そのほか、周辺環境に対して具体的に配慮していた点も評価された。
今後は市との基本協定締結や、神奈川県との設置計画の承認および認可の協議、文部科学省による不登校特例校の認定などを経て、2026年4月の供用開始を目指す予定となっている。
学校の設置が確定すると、市内では星槎中学校(緑区)、星槎高等学校(旭区)に続いて3校目の不登校特例校となる。
事業者決定について同法人の森理事長は「特例校設置に向けて大きな一歩。地域の皆さまの知恵や経験をお借りし、共に良い学校を作っていきたい」と思いを語った。財政局ファシリティマネジメント推進課の担当者は「いろいろな児童生徒の特性に合わせた教育で有意義な時間を過ごせ、地域に愛着を持ってもらえるような学校になってほしい」と期待を寄せた。
![]() 利活用計画全体像=学校法人森学園提供
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