イセザキ・モール1・2St.にある「からくり人形時計」が、16年ぶりに復活した。6月10日(時の記念日)にあわせて再稼働すると、集まった街の人たちは「音も人形の動きも当時のまま」と喜んだ。
定刻になると「鐘を鳴らす神父」や「鉄を打つ鍛冶職人」など中世ヨーロッパの人々をかたどったブロンズ風の9体の人形が、哀愁漂うバロック調の音楽と共に回転しながら動く。この「からくり人形時計」は1978年、街の再開発事業で商店街がモール化された際に、記念モニュメントの一つとして設置された。2005年頃に故障してからは時計台として使われていたが、数年前に時計も故障。修理には多額の費用がかかることから、見送られてきた。
しかし、コロナ禍で昨春から来街集客の柱であるイベントが軒並み中止となり、新たな街の賑わいづくりのため、復活を計画。当時時計を製作した乃村工藝社のグループ会社「ノムラテクノ」に復元を依頼した。
手探りで復元
同社のテクニカルディレクターとして復元に携わった小林敬治さんは「当時のまま再現するのにこだわった」と話す。実は、からくり時計ブームの火付け役と言われる有楽町マリオンやそごう横浜店のからくり時計も手掛けていた乃村工藝社の第1号作品が、このからくり時計だった。
しかし、今回の復元にあたり設計図はなく、点検用の資料が残されていたのみ。音源テープも壊れていたため、インターネットや街の人の記憶で楽譜におこそうと試みたが情報が集まらず「(時計が出ていると聞いて)『あぶない刑事』まで見ました」と小林さん。その後、商店街の事務所から予備テープが発見され安堵したという。当時の資料によると、作曲したのは大手企業のCM曲などの制作を手がけていた港北区在住の作曲家・増田豊さん。音源はリコーダーやチェンバロ、チェロなど五重奏の生演奏を録音したものだ。
以前は地下ケーブルを通じて事務所に置かれた制御装置で管理していたが、技術の進歩で装置はモニュメント内に納まり、4基の時計は電波時計に。屋根の塗装の際には、当時製作に関わり既に退職していた社員に色を確認してもらうなど、4月8日の撤去から約1カ月半かけて復元した。
復活の発案者であるイセザキ・モール商和会の廣井晴雄理事長(81)は「思い出がよみがえった。皆が待ち望んでいたからくり時計を復活できて本当に嬉しい。新たな街のシンボルにしていきたい」と話した。
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