中区・西区・南区 人物風土記
公開日:2022.09.15
完成100周年を迎えた国指定名勝・三溪園の園長
加藤 祐三さん
中区本牧三之谷在勤 85歳
名勝の歴史継ぎ、発展を
○…17棟の歴史的建造物と四季折々の自然が調和する国指定名勝の三溪園。完成から100年間、その姿が保たれてきた。それは「職人たちの技術や、職員の徹底した維持管理のおかげ」。文化財としての価値を守り、創設者・原三溪の時代から変わらない姿を末永く残し伝えていくことを使命に掲げる。
○…園長に就任したのは10年前。三溪園保勝会が財団法人から公益財団法人になる際に声が掛かった。心に留めるのは定款第3条。歴史・文化の継承とその発展、潤いある地域社会づくりへの寄与、日本文化を世界へ発信すること。その実現に自身の知識と経験を生かし舵取りをする。なかなか着手できずにいた地域づくりは今年、三溪園を会場にしたアートとジャズの祭典「本牧元気フェス」を初開催。新たな一歩を踏み出した。
○…東京都練馬区の出身。幼少期は「きかん気だったと思うよ」と笑う。高校生の時に、インドネシアのバンドンで行われたアジア・アフリカ会議に興味を持ったことをきっかけに、得意科目は数学だったが一転して、歴史にのめり込み、東京大学文学部に進学。大学院に進み、アジアやヨーロッパ計33カ国を巡るなど知見を深めた。横浜開港の歴史もお手の物。1973年から横浜市立大学文理学部の助教授・教授として教鞭を執り、地方出身の学生に横浜開港の歴史や魅力を「横浜学」として伝えた。その後、同大の学長に。現在は名誉教授に就いている。
○…東京都文京区に妻と2人暮らし。朝のストレッチに、8千〜9千歩の散歩が日課。週2回のテニスで汗を流す。「運動をすると頭がスッキリしアイデアが浮かぶ」。目標に定めた「守り、拓く、日本の伝統文化」を胸に歩みを続ける。
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