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中区・西区・南区 人物風土記

公開日:2023.03.16

『山本周五郎の記憶』の出版に尽力した
大久保 文香さん
中区本牧三之谷在住 82歳

本牧に「おじちゃん」の足跡を

 ○…『柳橋物語』や『樅ノ木(もみのき)は残った』『赤ひげ診療譚(たん)』『さぶ』などの有名作品で知られる時代小説家・山本周五郎。63歳で生涯を閉じるまで21年間にわたり本牧で暮らした。その足跡を周知しようと活動する。昨年3月には中区三之谷交番前交差点近くに顕彰記念板を建立、今回の記念本では筆を執った。

 ○…三之谷の自宅の離れを周五郎が仕事場にしていた。愛着を込めて「おじちゃん」と呼ぶ。出版社の経営者で著名な装丁家だった父・秋朱之介(西谷操)が、戦後、周五郎を本牧に招いたという。周五郎には「よく怒られた」というが、「よくあやしてくれた」とその思い出は今も色あせない。「本の出版は考えていなかったけれど、おじちゃんが背中を押してくれたのかな」と目を細めた。

 ○…東京都出身、4歳のころに本牧へ疎開。以来、この地に根を張る。戦後、長い間接収されていたフェンス越しのアメリカは「家がポツン、ポツンとあって。憧れましたね」と振り返る。3人の子どもを育て、PTA活動にも専念する専業主婦だったが、知り合いの紹介で40台半ばに関内のまちづくりにかかわるように。その後、草創期の野毛大道芸の運営側に引き抜かれ16年にわたりパフォーマーの手配などに尽力、「大道芸の母」と慕われる所以だ。

 ○…家庭菜園に精を出す。ショウガはジンジャーシロップに、甘夏はマーマレードにと毎年の楽しみだ。また、スポーツジムやボイストレーニングにも通う。行動的な自身をやゆして、泳ぎを止めない「マグロ年なんだから」と笑った。コロナ禍で地域を見つめ直す時間を得たこの数年。周五郎の足跡を残していくべく、作品を発信する拠点の整備にも取り組んでいく。

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