｢新たな発見｣に喜びを

　○…南図書館が入る建物の４階にはプールがあり、交流の場としてにぎわう。昨年は開館30周年記念事業として、有名作家による講演会などを行った。今年４月に館長に就任し、31年目の施設の舵取り役を担う。「本を読む・借りる場所という位置付けに収まらず、子育てや女性のキャリアを支える場所にもなれば」と視野を広げる。

　○…大学卒業後、技術職として市役所に入庁し、横浜環状北線の事業計画などに着手。50歳のころに南土木事務所の副所長に就任し、その後は保土ケ谷土木事務所などで所長を務めた。地域の身近な道路を対象に住民団体と行政が協働して美化活動などを行う「ハマロード・サポーター」の取組に携わり、町内会や商店街の人々と交流。こうした経験がまちの声を汲み取り、住民目線に立った施設運営を意識する原点だという。

　○…様々なメディアが発達し、各所で子どもの活字離れが指摘される中、「インターネットは便利だが、調べたいことだけに目が行くという弱点もある」と心配する。図書館は興味・関心がない情報が自然と目に飛び込み、想像の枠を超えた知識に出会える場所だといい、「新しい発見をして成長する喜びを感じてほしい」と呼び掛ける。子どもが読書の魅力を実感できる機会を作ることが今後の目標で、発信方法を探っていく。

　○…南区での勤務は約６年ぶり。散った桜の花びらがいかだのように大岡川に浮かぶ「花いかだ」を見て、南区に帰ってきたという実感が湧いたとか。「地域の皆さんによるボランティアが運営を支えている」と話し、書架整理や本の修理に携わる人々の活動を地域情報紙などを使って発信したいという。「知識の集積所」を見守り、住民の新たな交流を育む。