自転車文化を次世代に

　○…発起人として６年間奔走したメッセンジャーの世界大会がいよいよ横浜で開幕。会期目前で多忙を極める毎日だが、表情は晴れやかだ。「世界中のメッセンジャーたちから発信されるカルチャーも楽しんでもらえたら」と語り、自身も仲間たちとの再会を心待ちにしている。

　○…ファッションに興味のあった学生時代に目指したのはセレクトショップのバイヤー。18歳からアパレル店員として働き、偶然手にしたＮＹのメッセンジャーの写真集をきっかけに21歳でこの道へ。当時好きだったロック音楽の『グランジ』を体現していると感じ「それぞれが好きなものを着ているスタイルもカッコよかった」。しかし周囲との速さの違いを痛感して１年で挫折。ジーンズ工場でのウエア製造や大会ボランティアに参加するなどサポート側に回っていたが、独自のコミュニティーを持つ世界に再び魅了された。

　○…西区のメッセンジャー会社に勤務。企業が密集する中区や西区内を中心に市内を走るのは20人ほど。メッセンジャーネームで呼び合う気心知れた仲間は家族みたいな存在だ。自前のミシンを事務所に置き「時間ができたら（自転車便用の）バッグやジーンズを作りたい」と話す。現在住む南区は「ほどよくローカルで住みやすい」と家族を近居に誘致したほど。１歳の息子の父として、自転車交通ルールの啓発にも力を入れる。

　○…日々街中を自転車で走っているからこそ街の良さや課題に気が付くことも多く「メッセンジャーならではの視点を街づくりに生かせたら」と行政との橋渡し役も。環境に配慮した配達手段としての可能性を感じる一方、仕事の継続性も課題に。「業界を盛り上げながら、この文化を次世代につないでいきたい」