保土ケ谷区 コラム
公開日:2022.03.03
日蓮宗樹源寺 副住職 日比宣仁 連載11
法話箋 〜鹿苑〜
「千を一隅に照らす」
日本天台宗の祖である最澄(さいちょう)(766、一説767〜822)の言葉に「照千一隅、此則国宝」があります。「千を一隅(いちぐう)に照らす、此(こ)れ則ち国宝なり」と読みます。千とは千里とか全世界とか、この世界全てのことを指します。一隅(いちぐう)とは、1人1人が身を置いている環境のことです。
つまり、私たち個々が過ごす世界はとても小さい。しかし、その一隅(片隅)を究めることで、全世界を照らすことができる。このような人こそ国の宝である、ということです。
私たちは、生きる上で様々な家事や仕事をします。毎日同じ事の繰り返しです。しかしそのような平凡な事こそ尊い生業(なりわい)なのでしょう。掃除、洗濯、料理、通院、仕事、周囲との付き合い。それらに意味を見出し、楽しみながら、慎ましく取り組むことは人間性の成長に繋がります。その成長の先には、世の中の道理に通じる人格があります。このような人格を最澄は「千を照らす国宝」と呼んだのでしょう。
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