第58回全日本選手権大会で優勝した日本一の剣道家 高鍋 進さん 鶴見警察署 警務課所属 34歳
剣道”一直線”
○…「8年連続出場して、8回目で初。素直に嬉しい」。日本一の剣士を決める個人としては最高峰の大会。悲願の初優勝に笑みがこぼれる。その栄冠を手に、1月28日、鶴見警察署での武道始式に参加する。有段者を相手に5人掛けを披露するという。「今年4月からの勤務なので、鶴見では初めて。区民の皆さんに腕前を見てもらう機会は、そう多くない。精一杯やる」と表情を引き締める。
○…熊本県生まれ。4つ上の兄の影響で、小学校2年から始めた剣道。高校は大阪、大学は茨城と、剣道をやるために渡り歩いた。「中学校2年くらいから、だんだん試合に勝てるようになって。それが楽しくて、負けると悔しくて」。県警へは、剣道特別訓練員としての採用。神奈川を選んだ理由は、憧れだった鶴見生まれの剣豪・宮崎正裕氏(現剣道特別訓練員監督)がいたから。「大学時代から声をかけて頂いていた。本当にすごい人。指導を受けられて幸せです」と微笑む。
○…昨年は全国の警察官で争う個人、団体戦でも優勝した。「来年はほとんど連覇がかかっている。可能性があるものは全て連覇したい。特に警察官として、団体戦は優勝を目指す」。現在、特別訓練員の主将を務める中で、後進の育成にも思いを及ばせるようになった。世界と戦ってきた日本代表も昨年引退した。いずれは指導者も見すえる。
○…鶴見署に籍を置くが、特別訓練員としてほぼ毎日、県警の武道館(保土ケ谷区)で稽古を重ねる日々。土日の休日も、「2日連続稽古を休むと体がなまるので、どちらか1日は動かすようにしている」と話すほど。「頭の中に必ず剣道のことがあるかもしれない」というが、唯一例外となるのは妻と昨年生まれた娘の存在。「家族と一緒にいる時間が安らぐ」と優しい顔をのぞかせる。年末年始は実家の熊本へ帰省する。「1年で1番のんびりできるとき」。日本一の剣士の顔が和らいだ。
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