キリンビール(株)横浜工場=生麦=のビオトープに10月9日、東芝テリー(株)=東京都=の敷地内で自生していたタチツボスミレが移植された。企業間で連携しての環境活動は、両者とも初の試み。関係者らは、同工場のビオトープが、近隣地域における生物多様性の拠点となることを期待している。
蝶のエサに
タチツボスミレは、里山の土手や路傍に自生している、日本では最も一般的なスミレ。蝶の一種、ツマグロヒョウモンが羽化のために必要なエサとなっている。
取り組みは、鶴見川流域で環境啓発などのボランティア活動を行っている、NPO法人鶴見川流域ネットワーキング(TRネット)が仲介。同団体の小林範和事務局長が東芝テリーを訪問した際に、敷地内で自生しているスミレを発見し、かねてから環境活動を協働で実施していたキリンに声掛けしたことで実現したという。
7月には3者による生物多様性についての意見交換会を実施。小林事務局長は「ツマグロヒョウモンが卵を産める環境が確保されている場所は、キリン周辺ではそんなにない。キリンと近隣の公園で生物が行き来するようになれば、地域全体の生物多様性が生まれる」と効果を期待している。
地域環境の中核に
キリンは2012年にビオトープを整備して以来、絶滅危惧種であるホトケドジョウの保護や、ビオトープの見学ツアーを実施するなど、生物多様性に貢献する活動を行ってきた。
同工場広報担当の籠倉啓子さんは「朝起きたら蝶々が飛んでいるような光景を、当たり前にしていきたい。他企業のビオトープだけでなく、各家庭の自然環境とつながっていければ」と地域環境のネットワーク形成に意気込んでいる。
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