鶴見消防署長に就任した 山田 裕之さん 泉区在住 55歳
個性まとめる情熱の指揮官
○…実に27年ぶりの”帰還”だ。最初の配属先だった入船出張所から、大黒町、予防課と、計6年勤務した消防人生の原点。「育ててくれた故郷のようなところ」。署長として帰れたことに「ありがたい」と微笑む一方、「鶴見は市内最多の職員数。責任も重い」と気を引き締める。
〇…横須賀出身。幼少時代、全盲だった祖母に、「人の役に立ちなさい」と言われて育った。中学3年で他界するまでに、数回呼んだ救急車。困った人を助けてくれる人。消防にはそんな印象を抱いた。「もちろん、他にも夢見たことはたくさんあった」。でも心の根っこにあった祖母の言葉。まちの発展性なども考え、横浜消防を選んだ。前職の消防局救急担当部長までに、消防庁や横浜市への派遣なども経験。東日本大震災後には、市内の病院と連携して各病院からの混成医療チームを編成し支援。過去に例の少ない先進的な事例も生みだすなど、さまざまな場面を乗り越えてきた。
〇…4月の就任以来、通常業務やあいさつ回りなどで多忙な日々。息抜きは、高校野球を中心とした学生スポーツの応援。娘の通っていた高校の野球部の試合は、妻と二人で必ず行く。「観戦じゃなく応援」。ひたむきな姿に心打たれ、涙することもあるほど。署長になり応援の頻度は減るが、「仕事が優先」だ。
〇…「鶴見消防署は人で勝負する」。区内各出張所を訪れ、職員にそう伝えた。一人ひとりの長所をいかしたチーム。住宅、工業、商業、山に海に川、あらゆることに対応が必要な鶴見。人材の幅広さも求められる。「消防署の外ともつながっていく」。甘えではなく、これまでの経験が示す横のつながりの重要性。信条である「情熱」を心に、何にも代えられない安心と安全を守っていく。
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