外壁に書かれた大きな屋号が目印の「珈琲専門店 山百合」=鶴見中央4の21の12。1975年から40年以上続く、歴史ある喫茶店だ。幕を閉じるはずだったこの店の歴史が、一人の若者によって引き継がれることになった。
偶然の出会い
友人の家が鶴見にあり、よく山百合の前を通っていたという喫茶店好きの慶野未来さん(25)=人物風土記で紹介。市内の学校で教諭として働きながらも「自分の店を持つ」という夢を心に秘めていた。
一方、コロナ禍で打撃を受け、1年半前から休業、後に閉店予定だった山百合。マスターと慶野さんに共通の知り合いがいたことから、二人は出会い、慶野さんは教諭を辞め、山百合を引き継ぐことになった。
もちろん、迷いがないわけではなかった。慶野さんは、「教諭を辞めるのは早いとか、周囲から色々指摘は受けました。特に、親にあれだけ反対されたのは初めてで」と苦笑する。それでも思いは曲げられなかった。気持ちは店に初めて入った時に固まった。「素敵な店内で、ワクワクして。そこで即決しました」
修行の日々
10月4日から再開した同店。昔ながらのサイフォン珈琲や、食事の味、提供スピードなど、随所にこだわりが見受けられる。慶野さんはマスターに教わりながら、日々修行を積む。「毎日怒られています。でも、こだわりが強いからこそ信頼できる」
「開いていて嬉しかった」「またやってくれてありがとう」などの声をもらうことも。「お客さんが喜んで帰ってくれるのが一番嬉しいです」と慶野さん。「マスターや社員さんの愛情深さが伝わり、山百合はずっと愛されてきたんだと思います。それらを受け継ぎながら豊かな時間を過ごせるお店にしていきたい」
鶴見区版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>