鶴見区 文化
公開日:2023.02.23
矢向地区に仏師現る!?
趣味で200体以上を彫る坂田さん
「矢向6丁目に趣味で200体以上の仏像を彫り続ける男性がいる」と聞き、取材に向かった。
その人は、坂田和夫さん(75)。定年退職した10年前から、「興味のあることをしていこう」と仏画や水墨画を習い始めた。その中で「2次元的なものよりも立体を作りたい」と思い立ち、カルチャースクールで木彫りや仏像づくりの基礎を学んだ。定年前は木彫りなどとは無縁だったが、手先が器用だったこともあり、3カ月という短期間で仏像づくりのノウハウを取得した。
小さいものなら1週間で
仏像の制作はまず、インターネットで仏像の画像を調べ、それをもとに図面を作る。側面の資料がないものは、イメージで描き進める。
ホームセンターで購入した角材に、描いた図面を貼り出して、鋸と彫刻刀で削り出す。「そのままでは木目が隠れない」とニスを塗って仕上げ、高さ20cmほどの仏像を約1週間で仕上げる。
作業は彫るだけでなく空間を作るために断片を「抜く」作業もあり、「木が割れないように細心の注意を払う、緊張の瞬間」と坂田さん。
今まで三十三観音像をはじめ、阿修羅像や朱雀、玄武などの四神、千手観音像など200体を超える仏像を作ってきた。その中でも力作は、1mほどの聖観世音菩薩。2つの角材を継ぎ合わせ、迫力のあるものを作り上げた。
一本の角材で作り上げる
多くを仏像を彫る中で、本体を極力一本の角材から作り上げることにこだわりを持ってきた。ただ、背中で光明を表現する「光背」など細かい模様が必要な部分は別に彫り、できるだけ精工に作り上げてきた。
最初は趣味として自宅で眺めるだけだったが、知人からリクエストされたり、甥の好きなアンパンマンやルパン三世などのアニメキャラクターを作ってあげたことも。
「ここまで作ってきたのは良いのだけれど、どう処分しようか。誰かに1体あげても寂しくてまた作ってしまうし」と笑う坂田さん。今では仏師「和雲」と名乗り、以前働いていた職場の後輩1人を弟子としている。「今後もできる限り彫り続けたい」。今日も彫刻刀を片手に、黙々と仏像に向き合う。
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