鶴見区 文化
公開日:2024.01.04
区内に伝わる竜の伝説
鶴見歴史の会に聞く
今年の干支の「辰」にちなみ、区内の竜にまつわる伝説について「鶴見歴史の会」に聞いた。
獅子ケ谷と駒岡にまたがる「二ツ池」。1600年頃に用水池として作られ、もとは1つの大池だったが、2つの村の水争いから池の真ん中に堤を作り、この堤が村境となり、それぞれの村で竜にまつわる伝説がある。
獅子ケ谷村の伝説
むかし、この池は一つの大池だった。池には竜神が住んでいたが、めったに出てこなかった。ただ、うっかり石などを蹴り込んでしまうと、目をつり上げてその人を殺すと言われていたという。
この竜神を鎮めるため村では毎年、村の娘を一人、生贄に捧げていた。その年は一番不作だった家の娘が選ばれた。
生贄の娘の許嫁の男が話を聞き、自分が飼いならした10頭の熊を連れ、決死の覚悟で大池の竜退治に。竜が起こした嵐の中繰り広げられた死闘の末、10頭の熊は竜にかじりついたまま動かなくなり、竜は絶叫と共に池を分断して息絶え、池が2つになったと獅子ケ谷村では言い伝えられていた(昼間義信氏、横溝武夫両氏の話より)。
同会の平石眞代さんは「竜を崇める存在として書かれており、飼いならしている熊の存在が出てくることなどが珍しい」と解説した。
駒岡村の伝説
駒岡には水の豊かな、多くの魚がすむ大沼があった。ある夏の夕暮れ近く、一陣の黒雲が沸き豪雷雨となり、黒雲の塊が大沼に落下していった。村中震えあがったが、すぐに元の静けさに戻った。ただ、今まで釣れた魚が全く取れなくなってしまった。
それから5年後の晩春、以前と全く同じように黒雲が沸き豪雷雨となった。そして黒雲の塊が落下した瞬間、重いうなり声と同時に黒雲は緑色の物体と大量の水と共に竜巻となって舞い上がり、直後に激しく落下。その時の大音響は、隣村でさえ「地震だ」と思うほど大きな音だった。
実は、5年前の嵐の日に投げ込まれたのは子どもの竜だった。竜の子どもは5年間に沼の魚を食べて育ち過ぎ、雲に乗れずに空中から落下してしまったのだった。
このことがあった後、誰も沼に近づかなかったが、数年経ってそっと近づいてみると、大沼に落下した竜の胴体で沼は二分され、竜の胴体はこけむし、草が生い茂っていて、「まるで土手が築かれたようだ」と村人たちは語り合った(磯ケ谷善五郎氏の話)(鶴見歴史の会機関誌より抜粋)
駒岡村の伝説について「神を表すことの多い竜が、魚を食べすぎて雲に乗れなかった話として語られている点が面白い」と平石さん。2つの伝説が、偶然にも竜によって池が分断される結末が共通しており興味深い。平石さんは「竜は水や戦いの神として、広まっていることが多い。この伝説は2つの地域間であった、治水・水争いの史実を昔語りとしたのかもしれない」と語った。
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