魅せます!鶴見のものづくり企業【12】 環境に優しいアルミナイズ加工 鶴見中央 伸光金属工業株式会社
全国で3社しか取り扱っていない「溶融アルミニウムめっき」(アルミナイズ処理)加工の先駆者である同社。
アルミナイズは、鉄鋼の表面に高度の耐食性、耐熱性・耐硫化性を付与する目的で開発されたもの。同社では1950年代後半から研究を始め、その後の技術開発の結果、広い分野で使用され、新金属材料として高く評価されている。特に近年では、潮風や海水からの構造物や設備を守るために長年行われてきた重塗装や亜鉛めっきと比較して、その耐久性から見たランニングコストに優位性があるとして、高く評価されている。
中でもアルミナイズα処理は65年に同社が開発した技術で、それまでの被めっき素材の劣化や変形等の欠点を克服し、アルミナイズ処理では不可能とされていた薄物や小物、複雑な形状への処理を可能とした。
同社製品は身近なところでは、東京湾アクアライン建設の際、換気のために造成された川崎人工島の足場や、大黒海釣り公園のフェンスなどがあり、耐食性に優れた同社の製品が活躍している。他にも消火栓や焼却炉にもアルミナイズ処理が活用されている。
カーレースが転機に
代表の本野雄士さんの親族が58年に設立した同社。転機となったのは、設立から3年後にイギリスのマン島で行われたTTレース(バイクレース)。出場した本田技研工業(ホンダ)のエンジン部品に同社の製品が使用されることが決まり、細かい部品の製造を行うことに。ただ、それまでは大きなものをめっき加工することが主流で、細かい部品の加工をする会社は無かったという。
それでも最も細かいもので4mmの製品を作りエンジン部品を完成させた。その年の大会でホンダは世界大会初優勝を飾り、エンジン部品の製造に関わった同社の製品の精密さが裏付けされることになり、大型のものから小型の製品まで取り扱う現在の同社となった。
唯一性を貫く
鶴見に工場を構え、創業から66年を迎えた同社はアルミめっき一本で勝負してきた。本野さんは「他の企業ができない唯一の技術を貫いて、特化した需要に応えたい」と意気込んでいる。
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