連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 【6】「物事をやり遂げる力」を育む
前回、幼児のものごとの受け取り方は《意思→感情→思考》という大人と全く逆であると紹介しました。福岡市の「しいのみ学園」(昇司三郎園長)では、3歳が人生の別れ道といわれるように、3歳までに「おもちゃ」で脳力を伸ばし、多くの子が普通の学校へ通うようになることを実証しています(昇司先生のおもちゃづくり教育から引用)。昇司先生の実践教育の切り札は、不要なものを使ったおもちゃ作りです。ペットボトルが車やままごとのテーブルになるなど、子どもは想像力を働かせて遊びの世界を作り出します。想像力が豊かになる遊びは脳のニューロン回路を発達し、生きる力を生み出すそうです。昇司先生はおもちゃを作る過程を子どもに見せることを大事にしています。こどもたちは不用品(素材)をどのように工夫したら、想像したものができて楽しいかを知ります。何でも買えば手に入る世の中ですが、不用品などを使ったおもちゃ作りは、何かに見立てて作りあげる体験となり「物事をやり遂げる力」になります。また、物事の始めから終わりまでを見せて親子でほめ合うことは【ものごとを見通す力】=【思考力】につながります。これまでにこんな質問がありました。
Qなんでも手作りがいいですか?
A昔の人たちは便利な生活用品を作り出してきました。だから何でも…と頑張り過ぎなくてもよい。時には料理を作っているところを見せたり、一緒に手伝ってもらったり、身近なところからやってみましょう(つくる過程を見せる)。
Qテレビやコンピューターゲームは生活に欠かせないので与えていいですか?
A子どもは受けた刺激を五感からそのまま体全体で受け止めます。テレビが本当に子どもの感覚のためにいいものか疑問です。家庭でできるおもちゃ作り体験を通して、作る喜びと本物を手渡すことです(本物に触れる体験・判断力を育てる)。テレビは痛いとか香りがいいとか…五感を通した実感がありません。幼児にとっては身の回りのものと触れ合う中で感じ、想像した世界を知っていくのがいいと思います。
便利な生活の中でおもちゃ作りや本物に触れたり使ったりする体験は、見ただけで「これは軽い」「これは熱そうだ」「これは臭いぞ」…などと判断する力になります。イルカも人間の子どもと同じです。何でも利用して遊び道具にします。
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一
(問)【メール】iwashige@gmail.com】
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