反町駅近くの喫茶店「コーヒーショップ キャメル」が12月30日で閉店することが取材でわかった。”憩いの場”として親しんできた老舗がなくなるとあって、地元住民からは驚きと悲しみの声があがっている。
大通りから一本脇に入ったところにひっそりとたたずむ同店。連日老若男女でにぎわう中での閉店の一報だった。「大家さんが亡くなり立ち退きになった」と同店の渡辺蘭子さん(73)は理由を明かす。常連客には報告している最中で、渡辺さんが取材に応じるのを聞いて「行くところがなくなる」と寂しがる声や「声に出して泣きたいほどつらい」と涙ぐむ人もいた。
自然体になれる空間
同店は前オーナーの男性が39年前にオープン。親の介護を理由に一度は店を閉めることになったが、コーヒー豆の卸売業者が当時西区内の喫茶店に勤めていた渡辺さんに話を持ちかけ復活に至った。
これまで30年にわたり店を守ってきた渡辺さん。20代でコーヒーの世界へ入り、喫茶店の経営経験もあったため、前オーナー時代からの客も渡辺さんの味をすぐに気に入ってくれた。「常連さん7人で”キャメル会”という集まりもあった。年齢や肩書き関係なく、みんなが自然と集い話せる空間」と、注文を受けながら笑顔で語る。
「いつ来ても美味しいコーヒーを飲んでもらいたい」。一つでも悪い豆があればコーヒーを点てなおすというこだわりの1杯に魅せられた常連客には、美空ひばりさんの数々の名曲を手がけた作詞家で、沢渡に住んでいた石本美由起さんもいた。
写真展と語る会
店内を囲むあたたかな木目の壁面を気に入る客が多く、絵画や写真の展覧会も行ってきた同店。今回の閉店を受け、これまで写真展を開いてきた常連客5人が写真展を計画している。メンバーの一人、小池将夫さんは「12月24日から30日までの予定。みんなで集って語れる会も企画中」とほほ笑む。渡辺さんは「これほどの良い場所はない」としながらも、新たな店舗を探す意欲をみせている。
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