菅田地区の歴史や暮らし、住民の戦争体験などを一冊にまとめた『菅田物語』(A5判・207ページ)を、菅田地区自治連合会と菅田のむかしを語る会が発行した。代々同地区に住む古老から体験談を聞き取ってきた語る会が中心となり、貴重な証言をもとに郷土愛を深めてもらおうと2、3年かけて編集。会の代表で同連合会元会長の元田貴さんは、「自分の住むまちを知り、関心を持ってもらう契機になれば。地元愛から近隣住民の仲が深まったらうれしい」と話す。
区内一の面積と人口・世帯数を誇る菅田地区は、戦後の宅地開発に伴い移住者が増加したため比較的新住民が多いという。元田さんも8年前に自治会長に就任した際、40年近く住んでいるにも関わらず地域に関して知らないことが多かったことに気づかされ、歴史を伝えていく必要性を痛感。代々菅田に住む人たちに語り部となってもらう菅田のむかしを語る会を立ち上げた。
語る会には毎回20人ほどが参加し、語り部たちの昔話や体験談に耳を傾けた。5年間・14回に及ぶ聞き取りで得られた地域の「財産」を残そうと、元田さんらは録画していた映像から文字を起こし、証言に出てきた場所に足を運ぶなどして情報を整理し、本としてまとめようと決めた。
戦争体験の伝承にも
元田さんらメンバーが特に力を入れたのが、戦争にまつわる話を伝えることだった。戦後75年を経て戦争経験者は減り続け、幼少期に戦争を経験した世代による語り部もまた高齢になり、伝承が困難になりつつある。
元田さんは、「実体験として話をできる人が少なくなっている中、知りたいことはたくさんあったが調べ出すのが遅かった。それでも、今こそ伝えなければという一心だった」と言葉に力を込める。
『菅田物語』は、地名の由来や菅田町の貝塚、戦争体験、農家の暮らし、学校に関する事柄などを昔の写真付きで紹介している。発刊を機に、「地域めぐりなどの活動にもつなげたい」(元田さん)という。
冊数に限りがあるため、本に関する問い合わせなどは元田さん【携帯電話】080・6524・1941。
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