区内企業
学生と食品ロス削減へ
横浜国大生と弁当考案
3月14日
新横浜通り沿いに商店やスーパーが建ち並ぶ片倉で、地域にかつての活気を取り戻そうと力を注ぐ人がいる。同地で電器店を営む佐藤誠さん(62)。商売とは無関係に見えるイベントを次々と企画しながら、新たなにぎわいを生み出している。
「使う人は無料で持って行ってね!」――4月17日、佐藤さんが経営する佐藤テレビ音響社の前に人だかりができた。お目当ては、店のお客さんから集めた不要品の数々。衣類や食器、生活雑貨に絵本などが店先に並び、訪れた人に引き取られていった。
「もってけマート」と題したイベントは、片倉の通りに人を呼び込もうと企画した。過去に顧客から引き取った不要品を店先で無料提供したところ思いのほか好評だったことから、常連客などに届けている店のニュースレターで不要品の提供を呼び掛けた。「思っていた以上にたくさんの品物が集まった。こんな小さな取り組みでも、地域の人に喜んでもらえたらうれしい」と佐藤さんは話す。
家業の電器店は、父・徳昭さんが西区の御所山町で創業。1999年に片倉支店に本店機能を移転し、2004年に佐藤さんが2代目を継いだ。片倉には8歳の頃から住み、地元住民としても思い入れの強い土地だ。
新興住宅地として急速な発展を遂げた片倉では、露店が出店する「夜店祭り」と呼ばれる夏祭りが古くから行われ、子ども時代の佐藤さんも一夜限りの祭りを楽しみにしていたという。しかし、関わる商店主の高齢化に伴い10年ほど前に廃止。商店街組織の片倉商和会も解散し、シンボルだったアーケードは維持管理費が負担となり15年に撤去。この地が商店街であることを示す目印はなくなった。
それでも佐藤さんは、「かつての活気が失われつつある片倉に元気を」とアイデアをめぐらせ続けている。
2018年には、夜店祭りのようなにぎわいを取り戻そうと「大丸ストリートフェスタ」を開催。露店の出店だけでなく、新横浜通り沿いに並ぶ商店の魅力を知ってもらおうとスタンプラリー形式のイベントを実施した。翌年の2回目には、2日間で1000人近い人が訪れる盛況ぶりだったという。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、佐藤さんは「県の補助金も申請した。来年こそは」と開催を目指す。
「商店会復活を」
佐藤さんにはもう1つの目標がある。解散した片倉商和会の復活だ。「この通りには大小合わせて150軒近い店があり、新しい飲食店もできはじめている。子育て世帯も多い片倉にもう一度商店会が誕生すれば、地域の活性化につながるはず」。商人として、地元を愛する住民の1人として、片倉のにぎわいを誰よりも願っている。
不要品を無料で提供する「もってけマート」は、4月24日にも同店で開催する。午前10時から午後5時。雨天中止。品物がなくなり次第終了。
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