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公開日:2025.09.18

横浜翠嵐高文芸部
俳句甲子園で県勢初V
個性とチームワーク光る

  • 優勝メダルを手に和気あいあいな部員たち

 愛媛県松山市で8月下旬に行われた「俳句甲子園」(NPO法人俳句甲子園実行委員会主催)で神奈川県勢として初優勝した横浜翠嵐高校文芸部の部員らが本紙の取材に応じた。個性あふれるメンバーからなるチームワークが、見事栄冠をもたらした。

全国32校が出場

 「俳句甲子園」は、高校生が5人1組のチームで自作の句とディベートによる鑑賞力を競う全国大会。今年で第28回の歴史があり、地方大会を勝ち抜いた全国32校が出場した。

 4大会連続5度目の全国出場となった横浜翠嵐高校は、4校による予選リーグを3戦全勝で通過すると、予選トーナメントでは強豪の灘高校を3対2で下した。決勝リーグも2連勝で勝ち上がり、決勝戦では洛南高校に3対1で勝利し、見事優勝を果たした。

メンバー一丸で掴んだ

 試合では、キャプテンを務めた清水風希さん(3年)を中心に、各メンバーがそれぞれの個性を発揮した。

 強さの秘訣は、選手と補欠が一丸となったチームワークにある。ディベート練習では、補欠の友安睦さん(2年)が「自分たちの句への愛着を切り離し、客観的な相手の視点でコメントすることを意識した」と語るように、徹底して相手役を務め、チームの鑑賞力を高めた。本番前には、ムードメーカーの中山一詩さん(3年)が仲間を和ませ、決勝前には円陣を組んで士気を高めた。「試合中も客席から応援してくれる姿が精神的な支えになった」と清水さん。帯同できず配信で見守った大井秀朗さん(1年)も含め、メンバー全員での優勝であることを強調した。

 週1回の部活動では、句を持ち寄る「句会」のほか、一つの句に対して部員全員で解釈を深める「読み合わせ」を重ねる。部長の池田光希さん(2年)は「全員で句に向き合うことで、ディベートでも自信を持って句を語れるようになる」と練習の成果を語る。また、清水さんは「メンバーそれぞれ論理的なタイプ、独特なタイプなど喋り方が違う。武器は一つより五つの方がいい」と話し、個性の多様性が相手にとっての脅威になったと分析する。

「句の世界」広がる

 個人のレベルの高さも優勝に貢献した。「百」が兼題となった決勝戦で披露した那住悠太さん(2年)の「水打つて昭和百年目を生きる」と、福村紗矢さん(1年)が詠んだ「家系図に知らぬ百人秋簾(あきすだれ)」は審査員選出の優秀賞に選ばれた。ほかにも池田さん、吉岡心晴さん(3年)が入選を果たすなど、チーム全体の創作力が光った。

 7年前からインストラクターとして指導してきた俳人の岩田由美さん=人物風土記で紹介=は、「去年まで在籍していた1代上の先輩の影響もあり、従来の客観写生から最近の句集などを意識したものまで、句の世界が広がったことも大きい。それぞれの個性が生きてきたなと思います」と分析する。

 大会を終え3年生は引退。池田部長は「優勝にこだわらず、今後も部員の個性を磨いていくことを大事にしたい」と抱負を述べた。決勝の舞台では感極まって涙を流した福村さんは「来年、再来年も強くなって3連覇を目指したい」と力強く語るなど、新チームはすでに来シーズンを見据えている。

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