神奈川県と東京都を隔てる多摩川で、高津区宇奈根と世田谷区を結ぶ渡し船「宇奈根の渡し」が9月23日、廃止から64年ぶりに1日限定で復活した。世田谷区の子どもたちが発案し、福田紀彦市長、世田谷区の保坂展人区長を招いて実現。高津の子どもらは船で川を渡り、昔ながらの遊びなどを通じて対岸の子どもたちとの交流を深めた。
企画したのは世田谷区立喜多見児童館。地域の子どもの願いを叶えようと同区が進める事業「夢プロジェクト」として実施した。
喜多見小の児童らが昨年、大田区で「羽田の渡し」の碑を見つけ、渡し船の歴史に関心を高めたのがきっかけ。今年4月から歴史学習を始め、児童館近くにある宇奈根の対岸に、同じ地名を持つ街が存在している事、江戸時代から人々の足として「宇奈根の渡し」が活躍していた事を知った。
この渡し船は、橋の整備など交通の発展にともない、利用者の減少で1950年に廃止されたと言われている。児童らは「渡し」を再現し、対岸の子どもと交流したいと企画を進め、福田市長、保坂区長を招いて、この日、64年ぶりの復活にこぎ着けた。
今回、同児童館を利用する喜多見小の児童25人が参加。当日は澄み渡った秋晴れの下、子どもたちが地元のお年寄りに学んで手作りした長さ約3メートルの木造船「夢叶丸(ゆめまる)」など2隻を川面に浮かべた。児童が船頭を務め、約30メートル離れた川崎側で待つ高津区の宇奈根町会子ども会の小学生を乗せ、再び世田谷側へ船を走らせた。別の船には福田市長、保坂区長が乗船し、世田谷側の河川敷で交流会の開会式を実施。その後、久地小の子を含め児童ら50人以上がこま、竹とんぼなど伝承遊びを楽しんだ。
福田市長は「多摩川は皆に共通の財産。子どもたちに地域の歴史を教えてもらった」と笑顔で語った。
幼少期に宇奈根の渡しを利用していた高津消防団の河原金藏団長(72)は「懐かしい。昔は川を渡って駄菓子を買いに行っていた。当時と風景は違うけれど、あのころを思い出します」と船を見つめていた。
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