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高津区 人物風土記

公開日:2024.06.14

食物アレルギー発症予防のため、簡単に少量摂取できる離乳食の製品化・普及に取り組む
今 哲昭さん
坂戸在勤 70歳

子どもの健康、守るため

 ○…乳児の食物アレルギーで最も多いとされる「卵」。そのため離乳食では「耳かき1さじ分から少しずつ」とされる。卵アレルギーの発症予防を目的に医師の協力のもと、手間のかかるこの食材を調理の負担なく使用できる加熱全卵パウダーに製品化した。「食物アレルギーだと親御さんは心配で本当に大変。発症を減らしたい」。親子が安心して食べて遊べる社会を目指す。

 ○…付き合いのあった前出の医師から「鶏卵アレルギー発症を予防する製品を製造・販売する会社を作りたい」と申し出を受けたのは、長年勤めた医薬品メーカーの定年退職後、業務委託で働いていた時のこと。親戚が食物アレルギーだったことでその大変さを知っており、また成年向け検査薬のマーケティングに従事した経験から「次は子どものために」と思い描いていた。「医療業界に身を置き3人の子を育てた。次は恩返しを」と、同業でシニア世代の知人らと68歳で起業した。

  ○…青森県出身。大学卒業後、サラリーマン時代は転勤族となり家庭を築いてからも札幌や福岡など、複数転勤。それでも転勤先に「皆ついて来てくれた」と家族とは強い絆。今はベンチャーの起業家として「経営面は大変です」と本音を口にするが「アレルギーの子どもたちのため、無償で懸命に先生や企業が協力してくれている。善意でできている製品だと思いますよ」と、加熱全卵パウダーへの思いを語る。

 ○…今年2月には事業の社会貢献度が評価され、かながわビジネスオーディションの特別賞も受賞。「少量ずつ摂取し発症を予防する文化を定着させ、手間なく続けられる製品の供給体制ができれば、日本でも世界でもアレルギー発症は減らせる」。若い世代のため、未来を見据える。

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