生田浄水場の廃止は、はたして市民の利益か!? 市政報告 川崎市議会議員 三宅 隆介
多摩区の生田浄水場は、工業用水道事業の施設部分だけを残して廃止になりました。
廃止された浄水場部分の跡地には、親水広場、多目的グランド、テニスコート及び駐車場を整備し、隣接する配水池上部には太陽光発電システムなどが設置される予定です。
そもそも、どうして生田浄水場の廃止計画が持ち上がったのかというと、近年、川崎市の給水能力が市民の水需要を大幅に上回っていたことから、例のごとく経費削減目当てに給水能力を縮小させる、いわゆるダウンサイジングを行うためでした。
これまで川崎市には、生田浄水場、潮見台浄水場、長沢浄水場の3つの浄水場があったのですが、浄水機能を長沢浄水場に集約し、潮見台浄水場と生田浄水場(工業用水を除く)を廃止したわけです。
このダウンサイジングによって、日量約100万トンを誇っていた本市の給水能力は日量約75万トンにまで低下しました。
川崎市民の水需要が日量約50万トンですので、当局としては「これによって稼働率を引き上げた」と言いたいわけです。
今後、世界は水源をめぐって戦争が起きるのではないかとさえ言われているなか、川崎市が給水能力を縮小(ダウンサイジング)させたことは誠に残念です。
とりわけ生田浄水場は、周辺(中野島、菅)の地下水を複数個所(22カ所)のさく井から取水していました。
こうした貴重な自己水源としてのさく井も、一部(9カ所)は廃止されます。
詰まるところ、家計簿的な財政感覚で行政運営が考えられているため、このような安易なダウンサイジングが「改革」の名のもとに断行されてしまうわけです。
何度でも言います。
行財政は、徴税権をもたない「家計簿」とは違うのです。
一例を挙げます。
2005年8月末、巨大ハリケーンが米国の南東部に襲いかかりました。
いわゆる、ハリケーン“カトリーナ”です。
このとき、製油所の一つが機能不全に陥ってしまったがために、米国中のガソリン価格が高騰するなどして混乱を深めました。
なぜ、たった一カ所の製油所が稼働しなくなっただけで、米国中のガソリン価格が高騰したのでしょうか。
当時、米国における製油所の稼働率は95%近くで、即ちほぼフル稼働だったからです。
ほぼフル稼働だと、一カ所やられただけで、全米がガソリン不足になってしまうのです。
要するに、水や食料や電気などのライフライン、あるいは石油をはじめとしたエネルギー資源については、平時から常に供給体制に余力が必要なのです。
2011年3月の東日本大震災のときもそうでした。
あのとき、私の住んでいる地域にあるコンビニやスーパーの棚から、一斉にペットボトルの水や電池が消えたことが思い出されます。
いざっ、という時、どんなに行政におカネがあったところで、飲む「水」、口にする「食料」、暖をとる「火」、動力としての「石油」や「電気」が現場になければ人間は生きていけません。
そこで、現在の川崎市の財政事情をみると、川崎市は政令指定都市のなかで財政力指数がナンバーワンです。
しかも毎年、市債償還額が市債発行額を上回るようにして緊縮予算を組んでいるので着実に負債残高を減らし続けています。むろん、市債発行の際の金利も低金利で推移しています。
むしろ、インフラ投資や福祉等への支出が不足しているために、川崎市は「地方交付税」の不交付団体にさえなっています。
そんな川崎市に深刻な財政問題などありません。
生田浄水場跡地には、グランドや憩いの場が整備されると同時に駐車場が整備される予定です。
これに伴い、当然のことながら周辺道路の交通量も増えることになります。
にもかかわらず、今のところ、それに対応するための周辺道路整備は計画されていません。
その理由は「そんなことをしたら川崎市の財政収支が単年度で黒字にならないから…」なのか?
このように「黒字、黒字、黒字」という市政を追求していると、例えば次のようになります。
首都東京に直下型巨大地震が発生しました →東京の浄水施設の半分が失われました →川崎市のほか近隣自治体でも水や食料の不足が発生しています → 川崎市民の飲む水がない →でも…「それでも川崎市の財政は黒字です!?…」
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4月19日