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多摩区・麻生区 文化

公開日:2021.03.05

第3回 川崎市地域文化財を紐解く【4】
江戸から平成継いだ「石橋」
旧小泉橋の桁と親柱

  • 1990年の小泉橋(右)、「小泉橋」「維時明治三十四年三月改脩」と書かれた親柱=稲田郷土史会提供

 かつて津久井道の交通の要所であった、二ヶ領用水にかかる登戸の「小泉橋」。1991(平成3)年に解体されるまで、江戸時代からの石橋が改築・拡幅されながら147年間にわたり使われていた。解体後も保管された「銘文入り桁石2枚」と「親柱4本」が、地域文化財になった。

 稲田郷土史会によると、当初小さな板橋だった小泉橋は1844(天保15)年、地元の篤農家・小泉利左衛門が私財を投じて石橋に架け替えた。その後、1901(明治34)年にはひ孫の小泉弥左衛門が改築。当時の開通式には県知事も呼ばれ、花火や山車などで盛大に祝ったという。1931(昭和6)年、コンクリートで拡幅補強され、平成に入ってからは「かながわの橋百選」にも選ばれた。

 解体工事でコンクリートをはがし発掘した桁石は12枚。そのうち1枚の裏側には天保15年の銘文、さらにもう1枚に明治34年の改修時の銘文が彫られている。明治の銘文からは「近年車両の通行が多くなり狭あいであること、陸軍砲車により損傷したため危険であること、小泉橋を改修し、余力で他の四五橋を改修することが亡父の意志を継ぐ子孫の勤めであること」などが読み取れる。

 地域文化財となった石材は、登戸区画整理事務所内に保管されているもの。稲田郷土史会の平林勤さんは「橋の近くに置いて展示するなど、広く市民に知ってもらいたい」と思いを話す。

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このコーナーでは第3回川崎市地域文化財に選ばれた文化財を紹介します。

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