一人で楽しめるスポーツとして、コロナ下で川崎市内でも競技人口が増えたスケートボード。近場の公園を使うケースが多い中、激しい動きを伴う競技の特性上、安全面の課題が浮き彫りになっている。一部の利用者による設備の破損や練習台の放置なども報告されており、愛好家へのマナー啓発や練習場確保が急務だ。
東京2020五輪の正式競技に採用されたスケボー。日本人選手の活躍やストリートファッションの流行もあり、若者の間で人気が高まる。
川崎市都市公園条例では公園での危険行為は禁じているが、スケボー自体は許可。中原区では昨秋に開放された等々力球場周辺で滑る人が多いという。同区道路公園センターの担当者は「『通行の妨げになる』『危険だ』という苦情が入ることがある」と話す。
川崎区の富士見公園では、昨年の緊急事態宣言中にスケボー利用者が増加。指定管理を担う富士通スタジアム川崎によると、備品のカラーコーンの無断使用や破損、持参した練習台の放置などマナー違反も見られるという。田中育郎支配人は「声掛けや警告文の掲示しか対策がなく、困っている」と打ち明ける。
専用公園が不足
愛好家は一般的に、「パーク」と呼ばれる専用公園で滑るが、市内では川崎区大師河原に1カ所のみ。市は同区・ちどり公園にも整備予定だが場所不足が続く。
毎週末、同球場で練習する市立宮内中(中原区)の生徒は「新横浜のパークに行っていたが電車代がかかる」と話す。市内の高校生らは「本当はパークで滑りたい。近くにあれば良いのに」とも。「人にぶつからないよう滑るのも物を壊さないのも常識。マナー違反する人のせいで僕らも通報される」とこぼす。
多摩区で署名運動
多摩区では昨年9月、市北部へのパーク開設を求めて小学生ら有志グループが署名運動を開始。3月16日時点で577人分が集まっている。
登戸でスケボー専門店を営み、運動を支える片桐宏樹さんは「日本では市民権を得ておらず、集まるだけで苦情を言う人もいる」と吐露。「やめさせるのではなく場所づくりを考えるべき。土手が騒音を防いでくれる河川敷を専用練習場にするなど、方法はある」とし、より効果的な騒音対策のために「練習場づくりにはスケボー経験者の意見を取り入れてほしい」と切望する。
多摩区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|