桜並木を維持管理する「宿河原堤桜保存会」の5代目会長を務める 関山 泰司さん 宿河原在住 80歳
花めく景色、守り継ぐ
○…一昨年5月、会長に就き、2度目の春を迎えた。コロナ禍で主催行事「桜まつり」は2年連続中止。「会長のうちに1回くらいはやらないとね。来年こそは盛大に」と胸中を話す。発足から半世紀近い保存会の会員は約90人。桜並木を守るため、芽かきや植樹など年間を通して活動する。枯枝の伐採や提灯設置といった力仕事も多いが、「私が平均年齢くらいかな」と高齢化が課題だ。
○…かつては桃の産地だった宿河原で、実家の桃畑があった地に居を構えて50年。目の前を二ヶ領用水が流れる。「小さいときは川沿いにカンナやダリアがあった。家を建てたころ、桜の木も若くてきれいで」。保存会には50歳ごろから参加。桜だけでなく、市緑化センターに植樹した桃の手入れも活動の一つだ。「二ヶ領用水宿河原堀を愛する会」では副会長を担い、美化活動に尽力。「川にゴミを捨ててしまう人も少なくない」と、悲しい現状を語る。
○…稲田小・中と地元で育ち、工業大学で土木を学んで川崎市に入庁。長きにわたり下水道整備に携わった。「当時普及率は10%くらい。そこから90%を超えて」と振り返る。宮前区の道路整備等の経験からも、「工事は地域との調和を図ることが大事」と実感。今、桜の管理では地域目線で行政と歩み寄る。「できることからお願いしている。植え替え等も長期的に考えてもらえたら」
○…町会や保護司、社会福祉協議会等の役目は一段落。最近は多摩老人福祉センター(中野島)まで自転車で通い、囲碁を打つのが日課だ。桜が咲き始め、自宅前にある「『桜』記念碑」を見やる。「100人近い名前が記された石碑。昔から地域の方々が頑張ってくださった。桜は、地元のシンボルですから」。歴代の思いを胸に刻む。
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3月29日