第6回「角川文庫キャラクター小説大賞」で昨年、優秀賞を獲得した多摩区出身の奥野じゅんさん(34)。受賞したデビュー作『江戸落語奇譚〜寄席と死神〜』が4月23日に刊行される。
漫画のような個性的な登場人物を主体に、特徴のある舞台設定でポップに描く「キャラクター文芸」。奥野さんは「お化けを追いかける、今人気の『怪異もの』をミステリーで書こう」と構想。家族問題を抱える大学生と、江戸落語にまつわるお化けを研究する人気文筆家という「イケメン」男性2人を主軸に、謎解きストーリが展開される。
今回の同大賞には499作品の応募があり、最終候補4作品から大賞と優秀賞、奨励賞が昨年10月に選出された。奥野さんは当時「小野じゅん」の名で出品。受賞時の副題は「怪異には失礼のないように」だったが、刊行に合わせ「寄席と死神」に変更した。担当編集者は「読んだ後、自分も落語を聞きにいきたいと率直に思った」と講評する。
物語は1章「芝浜」など、全4章の章名を落語の演目から引用。奥野さんは先月、縁あって多摩区在住の落語家・桂米多朗さん(54)の寄席を観覧。落語について話を聞いた。今後の作品の構想につながる可能性もありそうだ。
3年前に趣味で小説を書き始めた奥野さんは、2年ほど前に執筆サークルに入会。会員同士で原稿を講評し合うほか、文芸勉強会でプロ講師の指導を受けるなど鍛練を重ねる。「知らないことを知ったり、試すのが好き。できるようになるのが楽しい」。これまで手がけた小説はミステリーや純文学など約20本、およそ140万文字にのぼるという。「90歳まで元気に書こう」をモットーに、執筆活動を続ける。
同書は文庫判で272ページ、660円。書店やインターネットのアマゾンで購入できる。
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