多摩川を舞台にしたHulu配信ドラマ「息をひそめて」の監督・脚本を務めた 中川 龍太郎さん 登戸在住 31歳
原点は、故郷の原風景
○…映画監督の実績と信念を胸に、8つの物語からなる「配信ドラマ」という未踏の境地へ。「どこからでも見られて、最終的に一遍通して見ると一本につながって見える形にできたら一番美しい」。幼少から親しんだ多摩川を軸に、コロナ下の人間模様を異なる視点と場面で表現した。
○…9歳まで登戸で過ごし、物心ついたころから物語を空想。テレビの再放送で見た「ウルトラマン」には向ヶ丘遊園など近所のロケ地が映り、「ブラウン管の中と地続きで、架空のストーリーを思い描いていた」。集団より一人が好きで、思春期は松本清張など昭和のミステリー小説を読みあさり、自ら執筆も。高校生になると「社会をよくしたい」と政治家を志し、演説や討論に打ち込む日々。恋心を詩につづり雑誌に投稿し、掲載誌をラブレター代わりに渡す粋な一面もみせた。
○…大学で最初に打ち解けた親友が、映画を教えてくれた。やがて仲間を集めて自主制作に没頭。プロとしての将来を考えていた矢先、親友は突然命を絶った。「映画をつくることが彼の存在の証明になる」。卒業の翌年、その死をテーマにした『走れ、絶望に追いつかれない速さで』を、「勝負作として命懸けで撮った」。こだわりを捨てられず衝突し、15人のスタッフは3人に。借金数百万円を抱えたが、国内外で高評価を得て「人生の扉」が開かれた。
○…ほとんどの作品に登場する古い街並みは、昨年帰ってきた登戸が原風景。登戸小周辺の小道や区画整理前に住んでいた区役所そばの街並みが心に生きる。「人と人の距離が近く商店街も活発。僕にとって故郷」。感じたことが作品に映るからこそ「住む場所は大切。場所があって人がいる」。この街にいる幸せを、そっとかみしめる。
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4月5日