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公開日:2022.03.11

県内
未成年の大麻 6年で10倍
背景にSNSや誤情報

 大麻所持などで検挙される未成年者が全国的に増加している。神奈川県内でも昨年の検挙数は117人で、6年前に比べて約10倍。多摩警察署の担当者は、インターネットで誤った情報がまん延していることや、SNSで見知らぬ人から勧誘されやすい状況が背景にあると指摘する。

 大麻所持等で検挙された県内の未成年者は、2017年までは15件前後で推移。18年に47件と急増し、21年は117件だった。覚せい剤や他薬物は横ばいだが、大麻だけが増え続けている。

 増加の背景に挙げられるのが、誤情報のまん延だ。ネット上には「大麻は害が少ない」「リラックス効果がある」との誤った書き込みがあふれており、鵜呑みにする未成年者が多いという。20年に県内で検挙された98人のうち、80人の供述を県警がまとめたところ、危険性・有害性の認識について約半数の43人が「ない」と答えていた。

 ネットの普及で未成年者にとって大麻が身近な存在になってしまっているのも要因の一つ。SNSでは、大麻を意味する「野菜」や手渡しを意味する「手押し」など、隠語を使ったやり取りが散見される。動画投稿サイトでは大麻を吸っている映像も見られる。興味や好奇心、友人からの誘いがあると簡単に手を出せてしまう状況という。多摩署の担当者は「SNSで勧められるような機会が簡単に得られてしまう。低年齢化しており、ネット社会の危険性を啓発していかなければいけない」と警鐘を鳴らす。

実態伝える機会を

 県薬物乱用防止指導員協議会多摩支部(小林房雄支部長)は、区内行事や小中高校での薬物乱用防止教室で危険性を訴えてきた。保護司として保護観察中の少年と接した経験もある小林支部長は「対面しているからこそ薬物の怖さや実態が分かる。子どもたちには断る勇気を持ってほしい」とし、事例写真を多用した資料作りに力を入れる。一方、コロナ下ではイベント中止など啓発機会が減少。「子どもだけでなく親や祖父母、いろんな場面で危険性を伝えたい」と先を見据える。

 薬物依存者らの回復支援施設「川崎ダルク」(中原区)の岡崎重人施設長は、検挙された未成年者のその後の支援が不足している現状を指摘。「社会的制裁で居場所がなくなると子どもは孤立してしまいがち。その結果、他の薬物や特殊詐欺等の犯罪にも手を出しかねない」と危惧する。

 大麻に関する相談ダイヤルは県警【電話】045・664・9110、川崎ダルク【電話】044・798・7608。

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