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公開日:2022.09.02
長尾在住岩崎さん
「本のなる木」で循環を
緑化センターで絵本共有
長尾在住の岩崎友彦さん(49)が先月、川崎市緑化センター(宿河原)の休憩室に木の形をした本棚「本のなる木」を設置した。多様な絵本が並び、持ち帰って自宅の本と交換できる。昨夏からの取り組みの延長として、岩崎さんは「循環型社会をつくる一助になれば」と展望を語る。
編集者として長年働いてきた岩崎さん。出版不況が叫ばれる中、「工夫すれば本の価値を世の中にもっと伝えられるのでは」と今春まで2年間、武蔵野美術大学大学院で新たな読書体験の方法を研究していた。
在学中の昨年7月、自宅近くの市緑化センターに相談し、温室横の休憩室に「みんなのほんだな」と銘打った本棚を設置。リユース活動を行う企業から無償で譲り受けた絵本100冊を用意した。園内での読書のほか、気に入った絵本は持ち帰り、代わりに自宅から持ってきた一冊を置いて交換する仕組みに。4カ月ほどが経った昨年10月末、本棚を確認すると、約半数が入れ替わっていたという。「身近に絵本が読める場があるのはうれしい」など、好評の声も多く届いた。
装い新たに継続
これまでの本棚は廃棄予定のカラーボックスを使用していたが、手応えを感じた岩崎さんは、緑化センターの雰囲気にも合う木の形をした本棚の製作を決意。高さは約2メートル、枝に見立てた棚に本を置けるよう設計した。昨年11月には、本棚の周りの装飾を作るワークショップも開催。地域住民ら約30人が参加し、紙や布で葉っぱの飾りを仕上げた。
「本のなる木」は今年1月に完成し、大学院の修了発表で優秀賞に。同大学美術館での展示を経て、緑化センターへ8月上旬に移動した。
約100冊の絵本はこの1年でほとんど入れ替わっている。「住む地域で実践を考えていたとき、取り組みを快諾してくれた緑化センターに感謝。本をはじめ物が循環する社会、長く大切に使ってもらうことの意味を親子が話すきっかけにもなればうれしい」と岩崎さん。同センターを統括する菊地徹さんは「デザインも素敵。地域の人が集う場にもなるので、今後も継続してほしい」と期待を寄せた。
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