多摩区・麻生区 文化
公開日:2023.02.17
市内出身 漫画家・須本さん
「完結まで描きたい」
連載誌休刊でクラファン
高津区出身の漫画家、須本壮一さんの作品『紫電改343』が連載中の漫画雑誌の休刊に伴い、完結できずに終了しなければならない事態となっている。「ファンのためにも完結まで届けたい」と、須本さんはネット上で資金を集めるクラウドファンディングに乗り出した。
須本さんは1980年に第19回『週刊少年サンデー』新人コミック大賞佳作でデビュー。代表作に北朝鮮拉致問題を扱った『奪還』『めぐみ』があり、百田尚樹さん原作『永遠の0』『海賊とよばれた男』のコミカライズでは作画を担当している。今回の『紫電改343』は敗戦濃厚だった太平洋戦争末期の日本を舞台に、「第三四三海軍航空隊」の若き搭乗員たちを描いた群像劇。「本土防衛の切り札」として当時有数のエースパイロットを集めた超精鋭部隊に敬意を込めたという。
2020年11月に講談社の青年漫画誌「イブニング」で連載がスタートし、単行本は9巻まで発行。5年かけて完結する予定だった。イブニング編集部は昨年末、今年2月28日発売の「イブニング6号」をもって休刊することを発表。残り2巻分(420ページ前後)のエピソードを描けない状況に陥った。
当事者にも取材「終われない」
須本さんは作品づくりにあたり、同隊に所属した当事者やその家族、関係者を取材。長崎原爆で行方不明となったまま誰にも最期を見届けてもらえなかった隊員の無念さや、死を覚悟して戦闘に臨む中で終戦を迎えた隊員たちの葛藤を知った。「生き残ることは誇りであり、日本が絶対に諦めないということをこの343との対決でアメリカは感じたと思う。だから敗戦国でも戦勝国と肩を並べることができる国になったのではないか」
クラウドファンディングは1200万円を目標に先月開始し、2月13日時点で700万円超。3月14日まで実施する。3千円から80万円のプランがあり、1万円のデータプランでは毎月1回35ページ前後の漫画データを完結までの12カ月にわたって受け取ることができる。
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