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公開日:2023.09.01

関東大震災100周年
地域に応じた防災を
区の取り組みなど紹介

  • ハザードマップを手に災害への備えを呼びかける区担当者=8月28日

  • 昨年の市総合防災訓練=市提供

 1923(大正12)年9月1日午前11時58分。関東地方を大地震が襲った。内閣府によると亡くなった人は10万5385人、全潰全焼流出家屋数は29万3387に上る。関東大震災から今日で100年。当時の多摩区の様子を文献で辿るとともに、現在の市区の防災への取り組みを紹介する。

 川崎市多摩区の今昔を記した『多摩区OLD&TODAY』(多摩区役所)によると、当時の川崎市域総人口9万1304人のうち死傷者は1150人で、特に大きな建物が倒壊した工場地帯のある市南部の被害が大きかったという。一方、「多摩区の農村地帯だった稲田村と生田村では、その被害は軽かった」とあり、稲田村(当時)は人口5344人のうち死傷・行方不明者は2人。生田村(当時)は3520人のうちゼロであった。ただし、建物は稲田村で総戸数875戸中75戸、生田村では513戸中56戸が全壊もしくは半壊したとされている。

危険度を知る

 「関東大震災当時は多摩区には家屋も人口も少なかったが、今は建物が密集し、傾斜地にも家が建っている。100年前とは違う」と区危機管理担当。「まずは自分が住む地域の危険度を知ることが大切」と続け、「多摩川に近い稲田エリアは水害、多摩丘陵に位置する生田エリアは土砂崩れと、地域特性にあった対応を」と注意を喚起する。区では洪水・土砂災害・内水(下水道や水路などから水が溢れる災害)の3種類のハザードマップを配布している。マップでは、例えば「洪水」を見ると、多摩川水系が氾濫した場合は府中街道周辺一帯まで浸水が想定され、「土砂災害」では生田エリアをはじめ菅や枡形、長尾などにも警戒区域が分布する。

 区はイベントなどで災害への備えを呼びかけるほか、町内会や地域教育会議、こども文化センターなどへの出前講座を行っている。特に昨年度31カ所に赴いた出前講座は「地域に応じた話ができ、防災意識の向上が図れる」と担当者は手ごたえを口にする。また、「避難所で生活するストレスはとても大きい。発災したからといって避難所に行くのが必ずしもいいというわけではなく、自宅が無事なのであれば在宅で避難をするのが一番」と担当者は話す。

市防災訓練 9・3 

 9月3日(日)には市総合防災訓練が菅多目的広場(菅野戸呂)と南菅中学校(菅馬場)で行われる。午前9時から正午。小雨決行(荒天中止)。

 毎年、川崎区を除く市内6区の輪番で実施されており、今年は市と多摩区が合同で行う。

 訓練では川崎市直下を震源とするマグニチュード7・3、市内最大震度7の地震を想定する。南菅中学では区が主体となり、発災から3、4日が経過した想定で訓練を実施。主なプログラムとして、地域住民と連携して避難所運営、電気・ガスなどのライフライン応急復旧、災害ボランティアセンター運営などの訓練を行う。加えて、一般自由参加の企画として地震や煙、VR(仮想現実)、放水、土のう作成などが体験できるブースや、災害時のトイレ問題、耐震化推進、ペットの同行避難、日頃の備え・食品備蓄、女性目線の防災、聴覚障害者の理解などを啓発するブースを設ける。

 市が主体となる菅多目的広場では、発災直後の想定で市と警察、消防などの関係機関が連携し、救出・救護活動、放水訓練などが行われる(10時40分から11時40分)。

 総合防災訓練の詳細は区危機管理担当【電話】044・935・3261。

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