議会報告 決算審査特別委員会で委員長として初の議長席に 川崎市議会議員 上原まさひろ
令和6年第3回定例会では、前年決算について議論する決算審査特別委員会が例年通り開催された。
私は決算審査特別委員長の大役を拝命し、初の議長席を経験した。自民党を代表した総括質疑は、川崎区の山田えり議員が行ったが、その質疑内容の取りまとめにあたった「子育て世代の流出」について報告する。
■川崎市の人口増に翳り
令和5年度決算は過去最高額となるも、足元の物価高騰、人材不足により、入札不調などにより一部事業に影響が出る結果となった。厳しい環境の中、市税の収入率は指定都市トップを維持し、市も健全な財政運営に努めたと言える。市税収入は過去最高を更新し続けているが、背景には人口増がある。これまで想定を上回る人口増が続いたが、令和6年に入り各月の人口は155万1千人台に留まりその傾向にも翳りが見られる。
■若い都市・川崎市の裏に激しい「人の出入り」
川崎市は国内の大都市の中でも特に若い都市と評されることが多い。平均年齢が低いためだ。一方で、人口の動態に着目すると、10代後半から20代の人口の流入が多く、35歳前後のいわゆる「子育て」人口の流出傾向が続いてきている。
■住宅取得に伴う子育て世代の流出
35歳前後の世代の流出傾向とともに、転出超過傾向が見られるのが、0─4歳の世代だ。転出先は、町田市、稲城市、横浜市など、隣接する自治体が多い。過去、宮前区の矢澤孝雄議員も同テーマにて一般質問を行った結果、川崎市も転出世帯への実態調査を実施し、流出要因は住宅取得が大きいともわかってきた。これに対して子育て世代に対する住宅取得支援策を打って出てきたが、その制度を利用したのは10件にも満たなかった背景がある。
■自治体間競争は国の少子化を止められるのか
自治体間では、子育て世代を取り合うかのように子育て支援策を打ち出している事実もある。政治に携わるものであれば、少子高齢化に触れないものは稀だろう。川崎市は、小児医療費の所得制限撤廃などにも取り組んだが、他の自治体ではこのほかにも財源を充てて、教育費・医療費等の支援を行っている。こうして自治体間が切磋琢磨することで、国の少子化が止まるのか。
■市長も子育て世代のニーズに応えたいとの答弁
川崎市としては、国としての動きを見定めつつ、良好な地域コミュニティーの形成と、安定的な幼児教育・保育環境の整備のほか、市長自身も、全世代の住みやすさとともに、子育て世代のニーズにも応えていきたいと意気込みを示した。
■不交付団体に求められる財政とのバランス
若い川崎市、健全な財政を保つ川崎市とはいえ、今後の高齢化は避けられず、介護等に関わる費用の増大も足元で進む。老朽化したインフラの補修や整備、近年甚大化する地震・風水害などへの対策も待ったなしである。より効率的で効果的な施策を全市的に進める中、子育て費用の支援だけに財源を充てる訳にはいかない。地方交付金を得られない川崎市の、子育て世代の議員としては、国策としての少子化対策を求めるとともに、子どもが住み続けたい、子育て世代が住み続けたいと思える、川崎のあり方を提案していきたい。
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12月6日