意見広告・議会報告
連載120 帯状疱疹ワクチンが一部公費負担に みらい川崎市議会議員団 こば りか子
帯状疱疹は、過去に水痘に罹患した方が、加齢やストレス、疲労等による免疫力の低下により、体内に潜伏する帯状疱疹ウイルスが再活性化し発症するものです。日本人では50歳代から発症率が高くなり、80歳までに3人に1人が発症すると言われ、70歳代で発症する方が最も多くなっているそうです。帯状疱疹は治療が長引くケースや、皮膚の発疹が治癒した後も痛みが続く「帯状疱疹神経痛」という後遺症や角膜炎、顔面神経麻痺、難聴等を引き起こし、目や耳に障害が残ることもあると言われています。
この帯状疱疹の発症と重症化予防にワクチンが有効とされ推奨されていますが、これまでは任意接種だったため負担が高額であることが課題でした。多くの自治体等から定期接種化を求める意見書が提出されてきたことなどから、国は令和7年4月1日から帯状疱疹ワクチンの一部公費負担を始めました。ところが交付金措置のため、普通交付税不交付団体の川崎市は、結果的にこのワクチンも市の負担で行わなければなりません。川崎市の補助対象者は65歳以上、5歳刻みで95歳までと100歳以上の方です。市では、対象者7万人のうち、3割が接種すると想定し、約6億円を予算措置しています。
ワクチンには「生」と「組換え」の2種類があります。「生」は皮下に1回接種し、1年後で6割程度、5年後で4割程度の予防効果があると言われ、自己負担は4千円です。
一方、「組換え」は、筋肉内に2回接種が必要です。1年後で9割以上、5年後で9割程度、10年時点でも7割程度の予防効果があると言われていますが、1回当たり1万円、合計2万円の自己負担が必要です。
先日、街頭演説で、このワクチン接種について話したところ、85歳の方から喜びの声が聞かれました。ところが、残念ながらその方は早生まれのため対象外であると伝えたところ「対象となる4年後は90歳のため生きている自信がない」と嘆いておられました。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。実は予防接種法では、例えば85歳の方の場合、昭和15年4月2日〜昭和16年4月1日生まれの方が対象であり、1月1日から4月1日までの方は90歳まで待たなければならないのです。予防接種法の枠組みで実施しなければ、何か事故が起きた時に補償されなくなってしまうため、無視することはできないのが現状です。とはいえ、その方が仰った「この歳になっても学年しばりというのは何とかならないものか」という言葉が胸に残っています。
なお、今年案内が届いた方が「今回は接種しない」という選択をした場合、5年後からは65歳限定となるため、補助対象外となります。全ての予防接種は強制されるものではなく、あくまでも任意ですが、じっくり検討されることをお勧めします。
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6月13日