米国のジャズミュージシャンで、作曲家として多くの名曲を世に生み出したグレン・ミラー。その生誕地である米国アイオワ州の都市・クラリンダで6月に開催された「グレン・ミラー・フェスティバル」に、多摩区を拠点とする和太鼓グループのメンバーらが出演し、演奏を披露した。
グレン・ミラーは、「ムーンライト・セレナーデ」「イン・ザ・ムード」などの有名なナンバーを作曲し、スウィング・ジャズの草分け的な存在として知られている。自身が結成したビッグ・バンドは「ザ・グレン・ミラー・オーケストラ」として、本人が亡くなった後もその思いを継ぎ、現在も世界中で演奏活動を行っている。
同フェスティバルは、グレン・ミラーの生誕地であるクラリンダで毎年6月に開かれている祭典で、同オーケストラをはじめ、米国内外から演奏家たちが集い、まちを音楽に染める。今年で50周年を迎えたその祭典に、多摩区登戸を拠点とする「未来太鼓道場」(小林政高代表)の出身者による和太鼓チーム「梵天」のメンバー4人と、多摩区在住で同道場生の青木さくらさんが参加した。
きっかけはさくらさんの父・秀臣さん(85)だ。高校生の頃、地元・札幌市の映画館で「グレン・ミラー物語」を観て衝撃を受けた秀臣さんは同フェスティバルに30年以上前から毎年、足を運んでいる。1993年には、クラリンダに本部のある「グレン・ミラー生誕地協会」の日本支部を多摩区で発足。現在も代表を務める。過去には、熊本県にある高校吹奏楽部のフェスティバル参加を実現させ、日米交流につなげた経緯もある。
今回は、そうした縁に加え、娘のさくらさんが和太鼓に勤しんでいることもあり、現地の関係者から秀臣さんに、「和太鼓を招きたい」と声がかかったという。
「ジャズで和太鼓?」。話を聞いて最初は戸惑ったさくらさん。自身が通う同道場の小林代表に相談すると協力を受け入れてくれ、和太鼓の講師らで構成される「梵天」のメンバーと共に海を渡ることが決まった。楽器の搬送が課題とされたものの、日米民間交流団体である一般社団法人日米協会のつてで、米国で調達することができた。
名曲を和楽器で
祭典で5人はオープニングセレモニーを担当。30分の持ち時間で、オリジナル曲に加え、グレン・ミラーの楽曲をメドレーで盛り込んだ。篠笛の繊細な音色で往年の名曲の旋律が流れ、和太鼓の力強い響きでジャズのリズムが刻まれると観客からは歓声があがった。小林代表の娘で梵天メンバーの桃さんは「ジャズに寄せすぎず、和っぽさも残し、和太鼓ならではのリズムも入れるという形で作り上げることができた。メドレーに入った瞬間、ざわざわとした好印象の反応をいただけてうれしかった」。さくらさんは「皆さんが真剣に聴いてくれた。受け入れられたとわかってウルっときた」と振り返った。
翌日に街なかを歩くと「良かった」「もう一回聴きたい」と声をかけらるほどの盛況ぶりだったという。現地で演奏に聴き入った秀臣さんは「伝統楽器の和太鼓を聴いてもらい、日米友好につながった。アメリカ中に響き渡ったのではないかと思うぐらい素晴らしい演奏だった」と述べた。
![]() 出演した(左から)青木さん、若山麻友子さん、小林桃さん、岩崎美帆さん、佐々木美穂さん=同
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