市政報告 川崎市に於ける夜間学級の現状と改善策について 川崎市議会議員 松原しげふみ
20年以上前になりますが、山田洋次監督で西田敏行さんが主演の「学校」という映画がありました。ご覧になった方もおられると思いますが、東京の下町の夜間学校(学級)を舞台に、家庭環境や社会的な状況により学齢期に学校で学ぶことができなかった生徒と教師の交流が描かれており、この映画によって夜間中学校の存在を初めて知った人もいたのではないでしょうか。笑いあり、涙あり、熱いものがこみ上げてくる感動的な映画でありましたが、皆さんは川崎市にも夜間学級があることをご存知でしょうか。本市では「中学校の就学義務年齢を超えた者で義務教育未修者のうち、中学校教育課程の修了を希望する向学心の強い市民に対し夜間に中学校教育を施し、卒業の資格を与える」ことを目的に昭和57年4月1日から市立西中原中学校夜間学級を開設しており、出身地や年齢に配慮し生徒の実態に応じて年間指導計画が作成されています。昨年度までの卒業生は185名であり、過去5年間の卒業生国籍別人数及び年齢層をみるとフィリピン12名、中国7名、日本5名、ネパール、バングラディッシュ、タイが各1名で、10代16名、20代6名、40代、50代が各1名、70代2名、80代1名となっています。反面仕事が多忙であるとか、言葉や文化の違い、環境に馴染めない、帰国により連絡が取れない等の理由で20名の方が卒業に至ることができませんでしたが、学ぶ意欲のある人に対する学習機会や場所を提供することは行政の責務であると考えますので一層の充実が必要となってきます。
さて、本市の中学校での平成26年度の不登校生徒の調査で1003名の生徒が不登校である事が判明致しました。不登校生徒の卒業については学校長の判断で卒業が認められますが、不登校等の理由で十分な教育が受けられないまま中学校を卒業するという現状を鑑み、文部科学省は昨年7月義務教育修了者の中学校夜間学級への再入学に関する通知(文科省は各都道府県、指定都市の教育委員会に対し形式だけの卒業者の夜間中学入学を検討するよう求めた)を発しました。しかし本市では来年度の夜間学級入学を募集する際の募集要件が変更されていません。早急に入学要件の改善を図り「十分な教育を受ける事が出来ないまま中学を卒業した者」という一文を加えるべきです。また不登校生徒だけに限らず虐待や病気、転校、保健室登校、いじめ等の理由で十分な教育を受けられなかった人に対しても夜間学級への入学を認めるよう行政に対して強く働きかけてまいります。
不登校の定義について
文部科学省によると何らかの心理的・情緒的・身体的、あるいは社会的要因、背景により登校しない、したくてもできない状態にあり、年間30日以上欠席した者のうち病気や経済的理由によるものを除いた者と定義しています。
松原しげふみ事務所
中原区新城5-2-3
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4月19日
4月12日