「御自由にお持ちください」。そう書かれた張り紙の下に積まれているのは、円柱型のコンクリートブロックだ。直径10センチ、高さ20センチ、重さは約3・6キロ。隣には使用例として花壇が作られている。
配布場所は宮内1丁目に本社と川崎工場を構え、生コンクリート製造販売を行う「宮松エスオーシー」の道路沿いの敷地内。発案者は同社で嘱託社員として働く石井賢次さん(76)だ。石井さんはミキサー車の運転手として同社に勤務。定年後の仕事ではコンクリートの強度を図るため、テスト用に毎日30本の円柱ブロックを作りデータを取っているという。残った円柱ブロックは産業廃棄物として処理するためお金がかかる。石井さんは「地域の人が庭づくりなどに使ってくれたら一石二鳥」と考えた。
配布を始めたのは昨年3月末。石井さんは配布開始時からカレンダーに赤鉛筆ではけた本数をメモしており、これまでの1年2カ月で約3000本がはけた。日頃から、工場が休みになる土日に本数が動くことが多く、今年5月の連休には、置いてあった275本全てがはけてしまった。
同社には近所の住人から「使わせてもらったよ」などの声も届いているという。「ちりも積もれば山となる。この年まで雇ってくれている会社と地域の皆さんに少しでも貢献出来たら」と石井さん。
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