神奈川県の条例により10月1日から、自転車利用者の損害賠償責任保険への加入が義務化となる。全国で、重大事故により高額賠償金を請求する判決が出ていることなどの背景がある。市地域安全推進課は、保険加入状況の確認と早急な加入を促している。
市が今年3月に公表した市内自転車利用者の保険加入率は50・5%に留まっている。市は自転車利用者の意識が低かったことが要因とみており、交通キャンペーンの啓発活動などにより、加入を訴えてきた。
保険加入の義務化により、自転車利用者は保険に加入し、自転車販売店やレンタル業者は顧客の加入確認と促進を行う。ただし、未加入による罰則は設けていない。
一方で、自転車保険の商品が多く制度が複雑で保険加入状況を確認できていない可能性のある人がいるとして、市担当者は「まずは自分が保険に加入しているか否かを確認してほしい」と話し、市や県が公表している加入状況確認シートの活用を促している。
自転車利用者に高額賠償
県が条例を制定した背景には、自転車対歩行者の事故が増加していることにある。
実際に加害者になってしまった児童の保護者に高額賠償を請求されるケースも発生している。兵庫県で2008年、夜間に高速で坂を下っていた小学生が歩行中の60代の女性と衝突。女性は頭がい骨骨折等の傷害により意識が戻らない状態となり、神戸地裁は保護者の監督義務違反を認め、9521万円の賠償を命じている。
市内では一昨年、麻生区で発生した「ながらスマホ」により歩行中の女性に衝突し死亡させた交通事故で、事故を起こした女子大生に禁錮2年執行猶予4年の有罪判決が下された。
県内ワースト3
中原警察署によると、中原区は平坦な土地や自転車利用者の多さから、全体の事故のうち自転車事故の占める割合「自転車交通事故構成率」が37・8%と高い水準にあり、県内54暑中3番目に悪い(9月10日時点)。中原警察署交通課では「保険に加入することで、交通ルールを守り、安全に運転しようとする意識が高まれば」と期待を寄せる。また、区内自転車店の経営者は「購入時にこちらが保険を勧めても加入する人は半分くらいで少ない。特に電動自転車はスピードが出やすく危険」と話す。
麻生区で発生した死亡事故を受け保険に加入したという女性は「子どもと一緒に加入した。小杉近くの府中街道など狭い道は運転していて危険を感じる」と話していた。
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