戻る

中原区 トップニュース社会

公開日:2022.04.01

半鐘、80年ぶり「里帰り」
役割終え2寺院に

  • 猪股分団長から半鐘が返された安楽寺の田島住職(上)と泉澤寺の齋藤副住職

 太平洋戦争中に国の要請を受け差し出した2つの半鐘が、3月23日に、安楽寺(下小田中)と泉澤寺(せんたくじ)(上小田中)へ80年ぶりに返還された。戦後、区内の火の見やぐらで使われた後は消防団の倉庫に保管されていた。大戸分団の猪股昌美分団長(57)から受け取った関係者は「この日を待っていた」と喜んだ。

 半鐘は高さ約65cm、重さ30kgほどで青銅製。当時は武器の材料に使われる予定だったが、結局国には届けられず、地元消防の火の見やぐらの鐘として利用。その後は倉庫に保管され、災害時などに活用する考えもあり、寺院には返還されなかった。しかし、10年以上使われず、消防団員でもある安楽寺の田島道男住職(46)=人物風土記で紹介=が、同寺檀家の猪股分団長に打診したことで話が進展。「貴重な文化財。元の寺へ戻せて良かった」と分団長は思いを込めた。

 安楽寺では、消防団や関係者ら19人が出席して返還式が行われた。半鐘は1751(寛延4)年に地域の人々から寺へ寄贈されたもので、朝夕に鳴らして僧侶が修行したという。田島住職は「火の用心などを知らせる役割を果たしたと聞いた。これからも地域の文化財として大切にしたい」と思いを込めた。

 泉澤寺では齋藤悠理副住職(48)が受け取った。半鐘には1880(明治13)年に製造されたと刻印されている。鈴木俊道住職(69)は「半鐘も寺に帰りたいと思っていたはず。本来あるべき場所に戻り、務めを果たせることがうれしいのではないか」と述べた。

 両寺院では半鐘をしばらく本堂に置き、一般に公開するという。泉澤寺は土、日曜のみ。

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

中原区 トップニュースの新着記事

中原区 トップニュースの記事を検索

コラム

コラム一覧

求人特集

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS