「街ナカアート」でかぎ編みによるヤーンボミングをプロデュースする 高橋 三千子さん 井田在住 72歳
地域の絆、作品に編み込む
○…「自分たちで手作りしたものが、近所の公園でも楽しめるようにしたい。今回の取り組みがその一歩になれば」と思う。地域の人たちと協力してかぎ編みしたモチーフを一枚につなぎ、「街ナカアート」で平和公園の野外彫刻を包む。編み物を通じて仲間づくりを行う活動「シルク・ドゥ・フィル(糸のサーカス)」には、見ていて楽しいものを編み出すという思いを込めた。
○…3姉妹の末っ子として、北海道・阿寒湖の畔で生まれた。転勤が多かった父の仕事の関係もあり、これまでに重ねた引っ越しは30回を超える。「まるで定住地を持たない移動民族のような生き方。だから、今暮らしている場所や人とのつながりを大切にする気持ちが強いのかも」とほほ笑む。井田に移り住んで6年。昔ながらの互いの顔が見える関係に、居心地の良さを感じている。
○…早くに夫を亡くし、二人の娘を育てるために必死に働いた。58歳のときに肺梗塞で入院。「このままでは娘たちに、ママは働きづめの人生だったと後悔させてしまう。好きなことをしていると思わせたい」。自分のための時間をつくり、興味があったものづくりの世界に踏み出した。母親の形見の着物をリメイクしたり、筋力の落ちた指先のリハビリを兼ねて編み物を覚えた。
○…仲間との活動の目的は「高価な趣味でなく、誰でも気軽に参加し、地域とのつながりが生み出せるもの」。みんなでおしゃべりしながら手作りを楽しみ、それぞれの作品をつなぎ合わせて一枚に仕上げる。「安心して生活できる地域のコミュニティーと目的のある活動が人生に張りを与えてくれるから」。手作り文化は生活の中から生まれたもの。身近な存在として、人に寄り添うものでありたいと願う。
|
|
|
|
|
|
6月20日