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中原区 社会

公開日:2025.11.19

低体重児などに提供
「ドナーミルク」市内でも
川崎病院が使用施設に

  • (上)聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院の母性病棟(下)clinic WIZの加久院長と、助産師の菊本さん

 低体重で生まれた赤ちゃんのための「ドナーミルク」を使用できる施設として、今年10月に川崎市立川崎病院(川崎区)が「日本財団母乳バンク」に登録された。市内の使用施設は聖マリアンナ医科大学病院(宮前区)に次ぐ2施設目。一方でドナーミルクを集める「登録施設」はまだ1施設と、市内での運用は始まったばかりだ。

 ドナーミルクは、早産などで1500g未満の低体重で生まれた赤ちゃんに対し、母親の母乳が出なかったり、出産の影響で身体に負荷をかけられない場合、ドナーから寄付されたミルクを提供する制度だ。必要以上に母乳が出るドナーが搾乳したものを細菌検査などを経て冷凍保管し、新生児集中治療室(NICU)の要請に応じて、赤ちゃんに提供する。

聖マリ病院で40人

 国内には「日本財団母乳バンク」と「日本母乳バンク協会」の2つの団体があり、ドナーの窓口になる「登録施設」と、赤ちゃんにミルクを提供する「使用施設」がそれぞれ登録されている。

 聖マリアンナ医科大学病院では1500g未満で生まれる乳児が年間50人前後おり、2019年に市内初の使用施設に。23年1月から25年6月末までのドナーミルク利用者数は40人だった。利用者は増加傾向にあり、25年上半期に1500g未満で生まれた子どもの7割以上がドナーミルクを利用した。

 同院の新生児科部長・総合周産期母子医療センター長の北東功教授は「小さく生まれたお子さんに早期に母乳を与えることで、病気を発症しにくくなる。母体の負担も軽減できる大切な制度」と語る。しかし今のところ医療保険の適用外のため、ミルクの提供を受ける「母乳バンク協会」に支払う会費を同院が負担する。こうした医療機関の負担を軽減するべく、東京都では今年度から、使用施設と登録施設に対する助成事業を始めた。北東教授は「同様の支援が広がれば、病院としても制度を使いやすくなる」と語る。

「制度知って欲しい」

 一方、市内の登録施設は「clinic WIZ のぼりと・ゆうえん小児科」(以下clinic WIZ 、多摩区)ただ一つだ。「clinic WIZ」は今年4月から「登録施設」となり、ドナー希望者への説明や血液検査などを、助産師の菊本登萌さんと協力して実施している。新生児専門医である加久翔太朗院長は「集中治療が必要な新生児のためにできる支援を考えた。将来的には登録施設が地域に根付くことが理想。まずは制度を知ってもらいたい」と話していた。

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