麻生区版 掲載号:2014年8月22日号 エリアトップへ

麻生の歴史を探る 麻生の古道(6)〜早の道〜

掲載号:2014年8月22日号

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天王森公園八坂神社
天王森公園八坂神社

 岡上には鎌倉街道”早の道”と呼ぶ道が通っていたといわれます。早の道とは近道という意味で、この道の場合は鎌倉街道”中の道”の青砥(現横浜市緑区中山)から、青葉区の奈良、岡上、そして町田市の広袴、真光寺、黒川を経て現多摩市の蓮光寺、関戸に通じる”上の道”の貝取を結ぶ中間道で、その道筋には様々な伝承、逸話が残されています。

 岡上の東光院は平安時代創建の古刹ですが、その山門と本堂は寺院としては珍しい東向きです。これには寺の東を通る鎌倉道に向け再建したので東向(光)院としたとの逸話があり、今でも古道の面影が残るところがあります。古老の話ではこのあたりを”ヘイミチバ”と呼んだそうで、それは”ハヤノミチ”の詰まった言葉といわれています。

 この道は鶴見川を渡り(現本村橋)、能ヶ谷で後の津久井道を横断しますが、ここは鎌倉時代に在地豪族の神蔵氏が威を張ったところで、そこに片平の尾根に向かう坂道があり、それは片平から栗木、黒川(現野外活動センター)へと続く尾根道になり、一方、幹線と思われる道は、広袴、真光寺、そして黒川へ向かっています。

 この広袴を含む鶴川団地には、頼朝の異母兄悪源田義平、そして木曽義仲の父源義賢を巡る伝承(大蔵館)があり、その旧跡は東西およそ9町51間(大蔵郷土史)とあります(異説もあり)ので、西に隣接する小野路(上の道)と一連のものであったかもしれません。また、この広袴からは東の栗木を越える道(亀井坂・京街坂)があり、それは平尾、金程方面に向かっています(前稿御座松道)。

 真光寺から黒川への道は村境の尾根(標高120〜130m程度)を越え(現鶴川街道)黒川に入って道は二つに別れます。一つは石神谷戸(今も古道の面影あり)、橋場、丸山を経て蓮光寺へ、もう一つは現鶴川街道と思しき道筋で稲城坂浜から矢野口に至っています。この真光寺の尾根では、前述の片平、栗木、黒川(野外活動センター)からの尾根道が小野路の”上の道”に接しています。また、この真光寺村は古刹真光寺(寺名が村名となっているのは近郊では王禅寺、国分寺、弘明寺のみ)の大寺があったところで、さらに近くの飯守神社は、黒川の汁守神社とともに府中大国魂神社の膳部神と伝承された「鎮座の年代を知らず(風土記)」の古社で、これ等の寺社はこの街道の目的地の一つだったのでしょう。

 黒川は黒河とも書きますが、三沢川の源流で、その中心が橋場といわれ真言宗の古刹金剛寺(廃寺)毘沙門天があり、そこにはいく筋かの里道が山々の稜線を縫って市内最高峰の丸山(149m)に集まってきます。その先は稲城市坂浜境の尾根道に達しており、そしてこの尾根道は多摩丘陵の尾根を行き最高峰の稲城の天王森公園(標高160m)に至ります。ここを蓮光寺とも呼びますが、この天王森公園(尾根道)からは関八州、秩父、相模が一望され、府中、国分寺や分倍河原、小沢原など、かつての古戦場が眼下にあり、さらに尾根を下ると鎌倉街道”上の道”で、この尾根には人馬が満ちたであろうことが想像されます。

 昭和61年、黒川はるひ野開発時の遺跡調査は思わぬ発見をしました。それは、奈良、平安時代の住居跡40軒あまりと寺院と思しき遺跡が発掘されたことで、そのことはこの頃この地に道があったということを意味します。武蔵野と相模野を眺望できるこの尾根は、万葉集に詠まれた防人の歌”多摩の横山”ではなかったろうかと想像されます。現在この尾根道が整備され、”よこやまの道”と名付けられて保存されています。

 参考資料:「川崎市史」「わが町大蔵」「くろかわ」「ふるさとは語る」文:小島一也(柿生郷土史料館相談役)

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