麻生区で収穫した禅寺丸柿を使用した農産加工品「禅寺丸柿スパークリングワイン」が完成し、1月下旬から販売される。学生考案のデザインをパッケージに使用するなど工夫し、若い世代への普及を図る。
禅寺丸柿は1214年に王禅寺で発見されたという甘柿。明治時代の末にこの地域での栽培は最盛期を迎え「柿生」の地名の由来にもなったとされる。1970年頃に市場から姿を消したが、95年に「柿生禅寺丸柿保存会」が結成され禅寺丸柿保存の取組みが始まった。植樹や柿もぎ体験実施のほか、96年からは毎年、禅寺丸柿を使用した「柿生禅寺丸柿ワイン」を製造、販売。柿ワインは99年に「かわさき農産物ブランド」に、2003年に「かながわブランド」に登録されている。
酷暑、台風を耐え豊作
同会では4年程前から若い世代や女性をターゲットにスパークリングワインづくりを検討。実現には禅寺丸柿ワインの製造本数を確保しながらスパークリングワインを最低1千本製造する必要があり、柿の収穫量が課題となっていた。
昨年は酷暑のために早い段階で柿の実が成り、収穫前には実が落ちてしまっていた。保存会の飯草康男会長は「挑戦できるかどうか、収穫するまでわからなかった」と振り返る。台風の影響も心配されたが、10月に収穫をすると合計5・5トンの大豊作。禅寺丸柿ワイン4200本に加えスパークリングワイン3100本を製造することができ、完成にこぎつけた。
和光大生がデザイン
ラベルと外箱のデザインは、区内岡上に隣接する和光大学でコンペを実施。経済経営学部3年の安井萌々香さん(21)の作品が採用された。安井さんが描いたのは紺を背景に手に柿を持っている和服姿の女性のデザイン。「禅寺丸柿の伝統を残しつつ、見た目で手にとってもらえるように考えた」と安井さん。コンペ後は色決めや注意書きのデザイン作成が大変だったといい「商品化する大変さを知ったが貴重な体験ができた」と感想を語った。
先月21日には、同会から福田紀彦川崎市長に完成したばかりのスパークリングワインが贈呈された。試飲した福田市長は「飲みやすい。食事中でも、食前食後にも楽しめる」と笑顔でコメント。ラベルデザインにも触れ「古典的だが新しいデザイン。禅寺丸柿の普及に一役買うのでは」と話していた。飯草会長は「完成して感激している。さっぱりしていて飲みやすいので若い人にも飲んでほしい」と話していた。
「禅寺丸柿スパークリングワイン」は500ミリリットルで1700円(税込)。1月29日から、セレサモス麻生店、セレサモス宮前店、川崎小売酒販組合に加盟する酒屋等で販売される。(問)保存会事務局(JAセレサ川崎 柿生支店内)【電話】044・988・1131
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