連載90 ナラ枯れ対策にも森林環境譲与税を活用 みらい川崎市議会議員団 こば りか子
今年は、夏の濃緑の中で、不自然に枯れた木が多いと感じた方も多いのではないでしょうか。
原因は、「ナラ枯れ」です。市内では、平成30年に多摩区で確認されて以来、今年は、川崎区以外で63箇所、約1900本確認されるなど急速に広がっています。中でも麻生区は、他の区では8箇所しか確認されていないところ、41箇所、目に見える位置だけで700本以上確認されるなど群を抜いています。
「森林環境譲与税」の創設趣旨に沿った活用を
本市には、国交付金における森林環境譲与税が交付されています。その使途は、「【1】森林整備 【2】人材育成・担い手の確保 【3】木材利用の促進や普及啓発」と限定され、本市には初年度の令和元年度は約5600万円、令和2年度は約1億2千万円が交付されています。
ところが、令和2年度の使途を確認すると、「義務教育施設の木質化」に1億293万円(86%)、「民間建築物の木材利用補助事業」に1526万円(12%)、「特別緑地保全地区の森林整備に向けた調査」に252万円と、森林整備には、わずか2%しか活用されていないことが分かりました。
そこで、「ナラ枯れの拡大など喫緊の課題が生じていることから、使途については『木質化偏重』から、『緑に関する課題解決』に配分を見直すこと」を求めたところ、副市長から「都市における良好な自然環境を保全することは大変重要であり、森林環境税の創設趣旨を踏まえ、本市の森林整備など活用が可能な事業に対し、優先的に配分する」との答弁を得ました。
団体の育成・支援にも積極的に
また、県が、「森林環境譲与税を活用したナラ枯れの取組の周知を図る」としていることから、本市の見解を質したところ、「他都市でもナラ枯れ対策に活用した事例があり、活用に向け調査研究する」ということです。
さらに、団体の育成や支援についても積極的に活用することを求めたところ、「現在活動中のボランティア団体への調査で、会員減少による担い手不足、森林整備の知識や経験不足などの課題もあることから、より効果的な団体の育成・支援と合わせ、団体の設立に向けた支援や情報発信の強化に向け、森林環境譲与税の活用について検討する」ということなので、引き続き注視していきます。
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