｢つながりんくへそのお」のメンバーで、活動のアイデア出しを担う
月野光雄さん
百合丘在住　86歳

先人の知恵を次世代に

　○…手芸が得意な仲間が集まり、余り生地や布を使って小物などを制作する地域団体「つながりんくへそのお」でアイデア出しの役目を担う。物がありふれる現代。使わなくなったから捨てるのではなく、リメイクして新たな活用方法を見つける。「先人の知恵。みんなで考えれば、さまざまな形になる。これから作るものの幅を広げていきたい」と意欲を示す。

　○…長崎で生まれ、すぐに東京へ。戦争が始まり、疎開していた愛知で終戦を迎えた。食べるものがなかった戦後。将来のことなど考える余裕もなかった。「高校生になって初めて、世界中に行ってみたくて商社を希望した」。ただ時代は就職難。大学の推薦で「断れなかった」と職業を選ぶことができず、銀行員に。50歳で自ら乳酸菌飲料を扱う企業に出向した。「規則の多い銀行と違って自由な言動ができて面白かった」と自身の歩みを振り返る。

　○…仙台に住んでいた娘が東日本大震災で被災。会いに行き、そのまま災害ボランティアとして活動した。現地での経験、戦後の経験は決して良い思い出ではない。「復興の過程には個々の物語がある。それを若い人に知ってもらいたい」。知り合いのつてで、語り部として大学などで講演活動も行う。

　○…歌が好きで高校生のときに合唱団に入団。社会人になってから最近までアマチュア合唱団で指揮を務めてきた。「人が奏でるハーモニーはきれい。決まった時の快感は抜けられない」と笑顔で語る。今頭の中にあるのは、次世代を担う若者がいかに活躍し、安心して暮らせる地域をつくるか。「高齢者は弱者ではない。人生の完熟期。経験、知識を生かして一人でもいいから手助けをしていきたい」。地域の活性化に力を注ぐ。