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麻生区 コラム

公開日:2023.08.25

柿生文化を読む
シリーズ「草創期の柿生中学校」柿生小学校の移転その2【2】文:小林基男(柿生郷土史料館専門委員)

  • 昭和30年代の授業風景。研究授業で見学者もおり、皆真剣な表情です

  • 4代目校長 榎本酉之輔先生

  • 昭和34年当時の柿生中学校全景

 先生はユニークで面白い先生でもあったのですが、決断力もある先生でした。柿生中学校に正式赴任に先立ち挨拶にみえた時、応接室に通されて、見るとテーブルの上に団扇が一本置かれていました。取り上げてみるときれいな映画女優さんの顔写真がありましたが、その顔に万年筆で眼鏡と髭がつけられていたそうで、先生は『三十周年記念誌』に自らこの事実を書かれ、最後に「随分面白いところだなと思いました。」と結ばれています。こう言うことがさらっとお書きになれるのですから、おおらかで気さくな校長先生だったのでしょう。赴任から1ヶ月も経たず、夏休みに入った直後、御殿場東山湖畔へ2泊3日のキャンプに出掛ける当日、生憎箱根方面に台風が接近中で雨脚が激しくなり、決行か延期かの判断が問われました。学校に集まった生徒たちは、行きたい一心で出発だけを願っていたのですが、「キャンプは天気の良い時に行くに限る。今日は延期にする」と決断、数日後の予約を取り直して愚図る生徒を説得、快晴の日のキャンプにつなげて、生徒や父母に喜ばれています。

(つづく)

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