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公開日:2023.10.13

市と民間が新会社
「電力の地産地消」を実現へ
30年度で7万世帯分想定

  • 新会社の事業の仕組み=市資料より

 川崎市はNTTのグループ企業や東急ら7者と連携し、市域への再生可能エネルギー普及に取り組む「川崎未来エナジー株式会社」を10月に設立、2024年4月に事業を開始する見込み。新会社を通じ再生可能エネルギーの地域循環を進め、温室効果ガス排出量を削減し脱炭素化を推進したい考えだ。(10月10日起稿)

 新会社は、市内のごみ処理センターで焼却に伴い発生する廃棄物発電を活用して市域へ供給し、再エネの地域循環につなげる。また、太陽光発電などによる電源開発や共同出資者と連携したソーシャルビジネスの創出にも取り組んでいく構え。市環境局は「市が経営の中核を担い、市民や事業者に対して再エネ導入や脱炭素化をアプローチしていきたい」と話す。

 新会社の資本金は1億円。市が51%を出資する。NTTアノードエナジーが18・5%、東急が10%、東急パワーサプライが8・5%、金融機関の川崎信用金庫、セレサ川崎農業協同組合、きらぼし銀行、横浜銀行がそれぞれ3%を出資する。所在地は幸区。設立時は事業パートナー側から社長が就任し、4月以降は市側から選任する。

全国で最大規模

 今回、新会社が取り扱う廃棄物発電は、これまで大部分を市外へ流出していた。現在、建て替え工事を行っている橘処理センターが4月に稼働すると、従来の約5倍、2万7千世帯以上の年間電力使用量に相当する120Gwh(ギガワット)の発電量が見込まれる。

 加えて、市内外から太陽光発電などを買い取るなどし、市は2030年度までに合わせて300Gwhの電力の調達が可能になると想定。同局によると、自治体が出資する電力会社は全国に60社以上ある中、新会社の資本金や想定発電量は「おそらく全国でも最大規模になるのでは」という。

 事業開始は24年4月を予定。当面は市立学校や市内公共施設、一部民間企業などに限定的に電力を供給するが、将来的には、市内の事業者や一般家庭への提供も見込んでいる。

 市は、「川崎市地球温暖化対策推進基本計画」に基づき、地球温暖化対策を推進している。新会社の設立は、同計画内にある5つの重点事業のうちの一つに位置付けられている。

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