麻生区 社会
公開日:2024.03.01
麻生消防署
被災地「厳しい環境だった」
隊員2人 輪島派遣を回顧
最大で震度7を観測した能登半島地震。川崎市消防局は1月9日から2月13日まで、緊急消防援助隊(神奈川県大隊)として、消防隊を石川県輪島市に派遣し、救助活動等にあたった。麻生消防署からも22人が現地に派遣され、活動を行った。消防司令長の関澤祐次さん(48)、特別救助隊長の市川裕司さん(45)は「厳しい環境だった」と振り返る。
川崎市消防局の消防隊が緊急消防援助隊として訪れたのは石川県輪島市。県内の他の消防隊と共に神奈川県大隊として、土砂崩れが起きた町野町で行方不明者1人の捜索活動にあたった。
市川さんは1月15日から20日までの3次派遣隊の中で麻生救助隊の隊長を務め、関澤さんは21日から26日までの5次派遣隊の中で川崎市隊の指揮を執った。
「経験したことない」
地震が発生した元日は麻生署で当直だった2人。「震度7と聞き、派遣があるだろう」と、いつでも出られるようにミーティングを重ねていたところ、国から派遣要請を受け、輪島市で活動を行うことが決まった。
厚木市にある消防学校から、宿営地の同県鳳珠郡能登町に12時間かけて到着。神奈川県大隊の活動場所は、土砂崩れが起き、民家が流された状態だった。道路が地割れで寸断され、消防車が近寄れない。車を止め、道がない場所を捜索、救助活動で必須のチェーンソーやスコップなど資機材を担いで、1時間以上かけて現場へ。そこで目にした光景に、市川さんは愕然としたという。「斜面が崩れてしまっていて、民家の残骸が残っている。重機が入れないため、手掘りで捜索活動を行わなければいけない現場だった」
流された倒木が重なり、雪で土砂がぬかるんでいる。しかも、余震や土砂崩れの危険がある中での活動。チェーンソーで木を細かく切って、スコップや手で泥を掘り、要救助者を捜索していく。関澤さんは「スキー場のゲレンデをひたすらスコップと手で掘っていくようなもの。途方もなく根気がいる活動だった」と作業の過酷さを振り返る。
市川さんは、熱海や大島の土砂崩れの現場に、関澤さんは東日本大震災の現場に派遣され、救助活動等にあたった経験を持っているが、「重機が入れず手掘りだけということはなかった。寒さも厳しく、朝、地面が凍っていても、途中で溶けて粘土状になる。雨が降ると、下はしゃばしゃばで仲間に引っ張ってもらわないと抜けれない。状況の変化も大きく、厳しかった」と市川さん。関澤さんは「土砂や倒木で簡単に逃げられない状況の中で、余震や土砂崩れの恐れもあるのでとにかく気を張っていた。安全第一に、隊員の疲労度も高く、どのように休ませながら活動をするかが大変だった」と話し、2人は「経験したことがない厳しい現場だった」と声を揃える。
防災訓練へ
それぞれの派遣活動をを終え、通常の業務に戻っている2人。市川さんは「現場に車両が入っていけず捜索活動も難航した。悪路でも入っていける車両があれば。寒冷地の経験もなかったので、個人装備も備えておくことが大事」と今回の派遣での経験で得た教訓を語る。関澤さんは「今回のような体力的に厳しい現場では一人ひとりの判断力が大切。そうした力や危機管理能力を日頃の訓練から鍛えていく必要がある」と語る。
加えて、市民へ防災訓練の重要性を呼び掛ける。「災害時、119番通報しても要請が多く、すぐに対応ができない。そのためにも、初期消火や倒壊家屋などの対応ができるように、町内会などの防災訓練に積極的に参加してほしい。地域の訓練で絆を深め、顔なじみになることが命をつなぐことになる」と関澤さんは語った。
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